大宅賞受賞『カウントダウン・メルトダウン』著者船橋洋一に藤野英人が聞く【後編】 「原発事故が明らかにした『権力のカラクリ』を国民が学ばなければ危機に強い社会はできない」

 ルース大使は厳しいことを言いはしましたが、それは情報が入ってこないことにイラだっただけで、アメリカは支援をするという立場を貫いています。今起きていることは日本の問題であり、解決にあたる主体は日本だと。

藤野: なるほど。お話を伺うまで、なぜこんなに膨大な取材をし、上下巻で1000ページにも迫る厚い本を書かれようと思ったのかなと考えていたのですが、合点がいきました。

 船橋さんは、下巻のあとがきに「私は一記者に戻った」と書かれていますね。この言葉は帯にも引用されています。

 まさにその通りで、朝日新聞で主筆まで務められた船橋さんですが、実際のところは、一記者として、誰よりも深い現場で、誰も聞いたことのない話を聞きたいという気持ちがとても強いんですね。尊敬しているのであえてこういう言い方をしますが、覗き見精神が強い。

船橋: 記者を43年間やりましたが、覗き見人生だったのかも知れませんね。

 実際のところ今回、私は割り切ったんです。透明人間になろう、と。当事者はそのときどう考え、何を言ったのか。事実と心象を含めた情景だけを描写して、ディテールを再現したいとそれだけを考えました。

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