『「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!』

生きていて死んでいる状態をつくる
古澤 明 プロフィール

 筆者の勝手な思い込みかもしれないが、量子力学の理解を困難にしている原因のひとつに、このシュレーディンガー描像とハイゼンベルク描像をあまり注意せずに、混ぜて使っていることが考えられる。

 特に、量子の粒子性のところをシュレーディンガー描像で説明し、量子の波動性のところをハイゼンベルク描像で説明する傾向がある(前2作についてもいえることだが)。そこで今回は、これらについても解説を試み、量子力学を少しでも理解してもらえるよう努力したつもりだ。

 たとえば、重ね合わせの状態というのはあくまでシュレーディンガー描像での話なのに、図Dの波が打ち消し合うところはハイゼンベルク描像の話にすり替わっているため、この図は全くの見当違いとなっている。シュレーディンガー描像、ハイゼンベルク描像ともに重要な考え方なのだが、このように誤解している人が多いのが現実だ。

 本書ではできる限り、現在使っているのがシュレーディンガー描像であるかハイゼンベルク描像であるかを明示し、読者の混乱を回避するように努めたつもりである。

 それでは状況説明は終わったので本論に移ろう。

目次
第1章 量子力学の準備
第2章 1つの量子から多数の量子集団へ
第3章 量子の波動性
第4章 シュレーディンガーの猫状態
第5章 実在するシュレーディンガーの猫

著者 古澤 明(ふるさわ・あきら)
1961年埼玉県生まれ。1986年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。(株)ニコン開発本部研究所(東京都品川区)、同筑波研究所(茨城県つくば市)、東京大学工学部物理工学科助教授を経て、2007年より、東京大学工学部物理工学科・大学院工学系研究科物理工学専攻教授。工学博士。1996年から2年間、カリフォルニア工科大学客員研究員。1998年に成功した決定論的量子テレポーテーションの実験は、Science誌が選ぶ1998年の10大成果に選出された。久保亮五記念賞、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞、国際量子通信賞等を受賞。
『「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!』
生きていて死んでいる状態をつくる

著者:古澤明

発行年月日:2012/09/20
ページ数:163
シリーズ通巻番号:B1785

定価(税込):840円 ⇒本を購入する(Amazon)
(前書きおよび著者情報は2012年9月20日現在のものです)