高橋洋一著『アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる』
~第1部「俗説をただす」より3編、全文掲載~

『アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる』
著者:高橋洋一
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 相関係数は0.7程度でかなり高い。これはつまり、通貨供給量が不足していることが、日本のデフレの原因であることをあらわしています。図をみれば一目瞭然ですが、日本のマネーの伸びだけが極端に低いことが確認できます。

 つまり、中央銀行が通貨供給量を増やせば物価は上がり、デフレを阻止できるわけです。事実、2008年のリーマン・ショックでアメリカはデフレ突入の縁に立たされましたが、FRBが積極的な金融緩和を行うことによってその危機を短期間で乗り切り、消費者物価指数の上昇率は目標水準である2%程度を維持しました。

 では、金融緩和によってデフレから脱却して景気が回復する仕組みをもう少し詳しく見ていきましょう。

 日銀がいま行っている金融緩和は政策金利の引き下げではなく、量的金融緩和と呼ばれるものです。民間の銀行は一定金額を日銀の当座預金口座に預けることを義務付けられており(「法定準備預金額」あるいは「所要準備額」という)、その預金残高(当座預金量)に比例した額の融資を行うことができます。

 量的金融緩和のもとでは、日銀は法定準備預金額を超える資金を銀行に供給することによって当座預金量を増やし、市中におカネを流れやすくしているわけです。

具体的には、日銀は銀行から長期国債や手形などの資産を買い入れて、その代金として日銀券を発行して当座預金量を増やしています。なお、世の中に出回っている現金(日銀券)と当座預金量を足したものを「マネタリーベース」といいます。「ベースマネー」とか「ハイパワードマネー」と呼ばれることもあります。

 さて、日銀が量的金融緩和を実施してマネタリーベースを増やしていけば、人々の「インフレ予想」が高まります。「将来物価が上がる」と判断するわけです。

 2001年3月から5年間続いた量的金融緩和の際、「予想インフレ率」がどのように推移したかを調べると、興味深いことがわかります(図4)。

 この図から、日銀当座預金量の増加とともに予想インフレ率も大きく上昇(デフレ予想が改善)していることがわかります。金利の恒等式をもう一度思い出してください。

 (実質金利)=(名目金利)-(予想インフレ率)

 このとき「予想インフレ率」が上昇すると、「実質金利」が低下します。