アタマはいいけど腕はイマイチ「東大理Ⅲ」〜トップ0.01%の「頭脳」は本当に幸せなのか

東大医学部(理Ⅲ)に合格した人たち
週刊現代 プロフィール

 教授にもなって、まともに手術ができない、という人も何人も知っています。順天堂大の天野篤先生が行った天皇陛下の心臓手術なんて象徴的ですよ。天皇家の手術は、代々東大病院が受け持ってきて、ある意味で東大病院の権威の源泉だった。それを他大の医師に譲ったわけですから、よっぽど執刀医に足る医師がいないのでしょう」

 医者としての資質に欠け、「名医」がいない東大医学部だが、一方では日本の医学界における権力は絶大である。教授を頂点とする「医局」の力は、計り知れない。

「東大医学部は名実ともに日本医学界の頂点です。全国の国立大学付属病院や関東圏の私立大学付属病院、都内の有力民間病院の多くは、上層部が東大医学部出身者で占められている(前ページ表参照)。

 '04年から導入された新医師臨床研修制度によって、医局は人事権を失い、解体されたと言われています。医局を蔑ろにすれば、人材供給が止められて病院経営が立ち行かなくなる、ということはもうないので、かつてのような絶対的な権力を失ったのは事実です。ただ長年築き上げられてきた人的ネットワークはそう簡単に失われません。

 そのネットワークの中枢が、東京大学医学部医学科の学生および卒業生、そして東大医学部の助教(助手)、准教授(助教授)、教授経験者のみが入ることを許される同窓会組織『鉄門倶楽部』です。医学界のトップはすべてこの組織に所属していると言っても過言ではありません」(前出・國貞氏)

 鉄門倶楽部の年に一度の総会には、東大医学部の教授陣が勢揃いし、新たな会員を迎える。彼らの力は、必ずしも形には現れない。

 がんに苦しんだある大物政治家は、己の生命を救った医師に対し「先生には一生頭が上がらない」と一生言い続けた。どんなにカネや権力を握っても、死んでしまえばすべてパー。医療機関の頂点に立つ東大医学部の教授は、たとえ手術ができなくても、絶大な「権威」であることに間違いはない。

 いま手元に鉄門倶楽部の名簿がある。ページを繰っていくと、帝京大学名誉教授、東京大学名誉教授、鳥取大学名誉教授……と錚々たる肩書が並ぶ。

 だが果たして、この名簿に人の生命を救うことができる名医は何名載っているのだろうか。

「週刊現代」2013年4月13日号より