アタマはいいけど腕はイマイチ「東大理Ⅲ」〜トップ0.01%の「頭脳」は本当に幸せなのか

東大医学部(理Ⅲ)に合格した人たち
週刊現代 プロフィール
国公立大学病院における東大医局の人事権は大きく、その力は全国に伸張する。だが、他の公務員同様、それぞれの縄張りにおける旧帝大の権威もまた絶大だ。関東圏を除けば、東大閥の国公立大学病院は、旧帝大の威光が届かない北陸や四国といったエリアにのみ存在する。私立大学における東大閥は関東圏にとどまる。私立大の医学部は歴史が浅いために、教育機能が弱く、代々東大から教授が送り込まれてきた。また都内の名だたる公立病院はほとんどが東大系であり、東大系の民間病院の多くは元公立病院である

 東大の医者の特徴は、リスクを取らないことです。減点方式の競争を生き抜いてきて、しかもプライドが高いせいか、とにかくミスを恐れる。処置に迷ったら、とりあえず『経過観察』で逃げる。医者にとってリスクを取らないというのは、無能を意味します。

 たとえば、私のような外科医には、とにかく手術の結果が求められます。その際必要とされるのは、リスクを乗り越えるためのアスリート的な精神力ですが、東大生にはそれがない」

 医者になりたい、というモチベーションがなく、ミスを恐れて踏み出せない。それが大秀才集団・東大医学部のもう一つの顔だ。今回の取材の中で、東大医学部の学生や卒業生たちに話を聞いていくと、合い言葉のように飛び出した「(医学部に行けば)食いっぱぐれないから」と言うフレーズも象徴的だ。南淵氏が続ける。

「私は一度、東大を目指す学生向けに講演をしたことがあります。講演の後、質問の時間を設けたのですが、誰も手を挙げなかったのに驚きました。言い間違いや、見当違いの質問をしてしまうことを恐れているわけです。

 そもそも東大に行くのは、煎じ詰めれば保身のためなんです。東大に行かないとできないこと、というのは実はほとんどない。ただ就職などには有利ですから、食いっぱぐれるリスクは減ります。つまり受験勉強というのは、努力を積み上げて将来のリスクを減らす作業であり、そのリスクを取りたがらない人間の究極系が東大理Ⅲなんです」

 リスクを取らないということは、必然的に修羅場の経験が足りないことを意味する。