7月4日に公示される予定の参院選まで3ヵ月を切った。自民党は独自の世論調査で東京選挙区で立候補している2人とも当選圏内に入っているなど、公明党を含め過半数回復に必要な64議席確保をはっきりと視野に入れている。
自民党の好調さは安倍政権が打ち出すアベノミクスなどの政策が国民から高く評価されていることが主因だが、野党各党のふがいなさも自民党を助けているのは否めない。維新の勢いに陰りが見られ、民主党、みんなの党では内部対立が深まっている。
朝日新聞と読売新聞が毎月行っている世論調査のデータを見ていただきたい。日本維新の会の政党支持率、参院選でどの党に投票するかの率で、数字は今年1月から3月の3ヵ月間を順番に並べた。
【政党支持率】
▽朝日 6% → 3% → 2%
▽読売 7% → 5% → 2%
【参院選投票先政党率】
▽朝日 16% → 15% → 12%
▽読売 16% → 13% → 9%
民主党の落ち込みの方が激しいため、ついつい民主党に目が向きがちだが、維新の会も明らかにダウントレンドだ。かたや、自民党は政党支持率でも投票先政党率でも3月調査で、朝日、読売ともに40%を超えている。
「アベノミクスでこれだけ沸き立っているんだからしょうがない。政権側は参院選までマイナス面が出ないようにするだろうから、この流れは当面、変わらないだろう」
維新幹部はこう語り、打つ手なしという現状を吐露する。
だが、原因は維新側にもあるのではないか。維新は昨年暮れの衆院選で54議席を得て第3党になり、国会に颯爽と登場した。しかし、国会で維新らしい活発さが全くと言って良いほど見られない。国会の晴れ舞台と言える衆院予算委員会での維新議員の質問を聞いていると、テレビ中継が入っていない場合はとくにひどく、まるで学芸会ではないかと思わざるを得ない議員もいる。
3月30日の党大会で決まった党綱領の憲法改正のくだりを読んで、維新の議員ですらびっくり仰天した。
「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」
維新代表の大阪市長・橋下徹は維新若手に「元々の表現は『憲法破棄』となっていたのを『改正』にしたんだから」と、憲法破棄を唱える代表の前東京都知事・石原慎太郎との調整の難しさを説明し、理解を求めた。また、関西の民放番組で「日本を孤立と軽蔑・・・占領」のくだりを「修飾語」と言ってのけた。
自民党でさえ、憲法の改正手続きを定めた憲法96条改正を唱えるにとどめている。維新の綱領は突出しており、違和感を覚える。