撮影:立木義浩
<店主前曰>
ヨーロッパの話だが、成功した男たちはロールスロイスを運転する。たまたま2台のロールスロイスが狭い道ですれ違うと、たがいににっこり笑みを浮かべて、目で合図を送るそうである。
その意味は「おまえも頑張って人生の成功者になったんだね」ということらしい。このことをロールスロイス・フレンドシップと言うそうだ。これはロアルド・ダールの短編小説に書かれたエピソードである。
さて日本にもピッコログランデ・フレンドシップというのがある。まさに今回の客人清原亜希さんとわたしがそうだ。2人は広尾の可愛いセレクトショップ「ピッコログランデ」の常連である。告白すれば、2人はここで浪費するために働いているようなものなのだ。
このショップでわたしたちは、美しいものをみつけたら迷わず買っている。困ったことに、このショップはおたがい指呼の間にある。
ある日また美しいものを物色していると、突然、セオ編集長から電話があった。
「シマジさん、そろそろ次の対談相手を決めましょう。振り返ってみますと、中野香織さん以外、いままですべて男性ばかりです。この辺で若くてきれいな女性を選抜してください。塩野七生先生と瀬戸内寂聴先生のような大御所は後に取っておいて、どなたか、候補はいませんか」
「そうだな。ここに清原亜希さんがいるんだが、どうだろう」
「モデルの清原亜希さんですか。清原和博さんの奥さまですよね。どうしてまたシマジさんがあんな美女とお知り合いなんですか」
「われわれはピッコログランデ・フレンドシップで結ばれているんだよ」
「う~ん、よく分からないけど、清原さんだったら立木先生も大喜びですよ。お願いしてみてください」