第3部 瀬戸内寂聴、玄侑宗久、故・小野ヤスシの妻ほか
もう怖くないさあ、「死後の世界」へ

週刊現代 プロフィール

「江戸時代の白隠禅師は呼吸法の大家としても知られているのですが、その白隠さんの本に『虚空』という言葉が出てくるんですね。虚空は大きな空間で、なにか我々の故郷のようなもの。死んでから、ホッとして行けるのが、虚空なんです」

「あの世」は確かにある

 若き日には東京大学病院や都立駒込病院などの大病院で第一線の外科医として活躍した帯津医師。だが死後について深く考えるようになったのは、末期の患者たちとじっくり向き合うことを始めてからだという。

「死ぬ間際のストレスというのは西洋医学的に見てもいろいろあります。昔は抗がん剤も生きるか死ぬかのギリギリまでガンガン使っていた。そうすると肌の色も悪いし、人相も気の毒なくらい悪くなる。

 ホリスティック医療の場合はそういうことをせず、体に優しい治療や民間療法を行う。すると死ぬ間際のストレスが軽減されるようなんですね。スッと、自然にいい顔になってあの世に旅立たれる。

 人間は『場』のなかの存在と言います。いつも場から場に移りながら生きている。それで、死後の世界があるかないかと考えたとき、私は人間の尊厳を貫き通すには死後の世界がないと困るなと思った。移っていく場がなくて、突然バサッと切られるんじゃね」

 作家で数多くの人々の悩みに答えてきた尼僧の瀬戸内寂聴氏は、最近あの世があるのではないかと強く感じるようになったと語る。

「90歳にもなると、身の周りでいろんな人が死んでいくんです。そうすると、体は焼かれてしまっても、何か残っている気がする。私たちがその人を思い出すということ自体、何かがここに残っているからではないでしょうか。

 私も以前は、『お墓なんかいらない』と思っていた。でも、人間は愛した人が死んで最初は嘆き悲しんでいても、半年もしたら、『あ、今朝は思い出さなかったな』というときが来る。つらいことは忘れられるようにできているんです。だからこそ、忘れないためのよすがとして、法事とかお墓があるんじゃないかしら」