古市憲寿×安藤美冬 【第3回】
「起業家やノマドという選択肢がある」と考えると、生きるのが楽になります

安藤 美冬

【第2回】はこちらをご覧ください。

「若いのに社会学者を名乗るとは何事だ」という批判

安藤: スルーすればいいとわかっていても、やっぱり批判を怖がる人は多いでしょうね。仮に「起業しようかな」と考えているときに、すでに起業した隣の人がバーッと集中砲火を浴びて、それにめげてしまっているのを見たら、「あ、やっぱりやめとこう」となる場合って必ずあると思うんです。

 私の場合も、私が批判を恐れて引っ込んでしまったら、「やっぱりフリーランスになるのは大変そうだな」と思って、チャレンジをやめる人が出てくるかもしれない。それはすごく悔しいですね。

 ところで古市さんは、批判を吸収する方なんですか? 何となく、のらりくらりとかわしていらっしゃる印象がありますけど

古市: のらりくらりしてるかなぁ・・・。一応、僕もエゴサーチはするし、大半は的外れな批判とか、僕の本も読まずに言っているような批判とか、言いがかりとかが多いですね。2ちゃんねるの僕に関する書き込みも見ますけど、ああ、これはあの人が書いてるな、ってのがわかることも多いですね(笑)。

安藤: わかっちゃうんですね。

古市: わかるのも、それはそれで嫌なんですけどね。あと僕は、肩書で批判されることも結構ありますよ。最近、「社会学者」と呼ばれることが多いんですけど、それがけしからんと。

安藤: でも、社会学者でしょ?

古市: それがよく批判されるんです。「まだ博士号を取ってないくせに社会学者なんて名乗るな」とか「若いのに社会学者とは何事だ」とか。

安藤: 年齢的に若いと社会学者を名乗れないんですか?

古市: 僕もちょっと、社会学者という肩書について調べてみたんです。そうしたら、「社会学者」を日本で最初に明示的に名乗り始めたのは、加藤秀俊さんという方だということがわかりました。彼は学生運動に関わったこともあって、一度、大学から外に出たんですね。それで「○○大学教授」といった肩書が使えなくなって、「社会学者」にしたそうです。

 そのように、大学と紐づいていない存在を社会学者と呼んでいたわけですから、別に大学に所属しているかどうかはあまり関係ない。それに、ある世代以上の研究者は博士号を持っていないことが多いので、博士の肩書と社会学者が紐づいているわけでもない。

 つまり、社会学者というのは名乗りたければ誰でも名乗れるんです。そういうことが、歴史を見たらとりあえずわかったので、いいかなと思って。

安藤: 古市さんが社会学者を名乗っても、批判されるいわれはまったくないわけですね。

古市: だから、その種の批判なんて気にしてもしょうがないなと。

安藤: 考えてみると、以前は批判の声も本人にはあまり届きませんでしたよね。芸能人でもコメンテーターでも、テレビに出てる人たちって、芸能界や文化人界みたいな場所の壁に守られていて。

古市: そうでした。

安藤: 批判といっても、せいぜいテレビ局に抗議の電話か投書が来るくらいでした。でも、担当者の段階で弾かれて、本人にはおそらくほとんど届いていなかったんでしょうね。それが今では、ツイッターや2ちゃんねるですぐにダイレクトに来ますから。

古市: 朝に放送される討論番組やワイドショーに出たときは、ツイッターの使用者と層が違うので、なかなか批判が見えてこないですね。

安藤: NHKに出演された場合はどうなんですか?

古市: 僕が呼ばれるNHKの番組は、ツイッターとかやっている人が結構見ているので、エゴサーチするといろいろなことを言われているのがわかります。

安藤: そういうのを見ても、心が折れたりしませんか?

古市: しませんね。逆にバッシングもされなくなったら、きっと僕がつまらないことしか言えなくなったんだと思います。ある程度、尖ったことを言ってるから、批判したり怒ったりする人が出てくるわけで、それがなくなったら、本当にただ当たり前のことを話している人になったのだろうなと。そうやってバランスを考え、バッシングがなくならないようにも気をつけています。

安藤: それはすごい心構えですね。私も今まで、ツイッターや2ちゃんねるに書いている人とか、匿名のブロガーとか、ネット界隈のよくわからない人に変なことを書かれることがありました。

 ただ最近は、知名度のある方から批判が来ることもあり、そういうときはちょっと嬉しいですね。ハクが付くので(笑)。

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