本連載では東京に限らず素敵な女性起業家を紹介します。第二回は、地域も日本も元気にする青森の農産物販売ベンチャー「ノースビレッジ農園」を率いる栗谷川柳子(くりやがわ・りゅうこ)さんの登場です。
栗谷川さんは、同社ホームページの自己紹介で「八戸市での会社員時代、青森県産野菜のネット販売を担当し、健康と環境を意識する生産者たちに出会う。同じ頃、大病を患い〈食〉の重要性に気づく。生産者たちとのふれあい、野菜の素晴らしさ、そして病との闘いの中で、生産者たちが育てる〈やさしい野菜〉と生活者とのかけ橋になりたいと願うようになる」と言う。ではもう少し詳しく、その中身を聞いてみよう。
前の勤め先では、楽天を通して農産物を販売していました。でも、「安いから」とか 「ポイントが欲しいから」とかではなくて、「モノがいいから買う」といってもらえる売り方ができないかと疑問を持ってました。もっと農家をクローズアップした売り方ができるんじゃないかって。
ちょうどその頃、リーマンショックが起きました。で、正月明けに出社すると、みなが集められて、経営難のため民事再生の手続きに入ることを突然告げられました。まさかこんなに早くと思いましたが、すぐに「会社を辞めます」と申し出て、農家への支払いとお詫びをして、会社を離れました。
自分が思った通りの農産物販売をやりたい、という気持ちで会社を辞めたんです。はじめは失業保険をもらいながら準備しようと考えていました。しかし、ダラダラしていたら気持ちがブレると思い、ニンニクやキノコをつくっている会社に勤めながら試してみようと、パートで取り組みを始めました。
何かを始めるとき、素朴な疑問がきっかけになることが多い。「なにか変だな」という違和感から、新たな解決策が生まれる。
農産物は、一律に同じものはできない。懸命につくったものも、そこそこつくったものも、農協で買い上げられるときは同じ価格になるかもしれないが、その品質には違いがある。よい農作物には対価が支払われ、すばらしい商品は価値が認められるべきだという、基本的な疑問を、栗谷川さんは持ったのだ。