NTTはどこへ行くのか
【第3章】 モバイル・ブロードバンド(2)
第三世代で孤立化したNTTドコモの教訓

NTTドコモのイノベーション・センター開設パーティー風景 (11年8月、筆者撮影)

第3章(1)はこちらをご覧ください。

第3世代の失敗を繰り返さない

 世界のモバイル業界で、有名な日本人が2人います。ひとりは4G(第4世代)モバイルのパイオニアとして有名な尾上誠蔵氏(おのえせいぞう、NTTドコモ研究開発センター所長)。もうひとりは3GPPという国際規格団体で活躍する中村武宏氏(なかむらたけひろ、NTTドコモ無線アクセス開発部担当部長)です。

 私が最初に尾上氏とあったのは、2011年8月。シリコンバレーの一角、パロアルトに同社のイノベーション・センターを設立したときのオープニング・パーティーでした。そのとき、話題がLTEになり、彼は「(NTTドコモは第3世代で)失敗しました。世界の携帯市場が成熟する前に(我が社は)導入してしまいました。LTEは、その失敗を繰り返さないように配慮したんですよ」と話しています。その言葉は私にとって大変印象的でした。

 1998年、NTTドコモは、諸外国に先んじて3GネットワークのFOMAを整備しました。先行したのはよいのですが、その後、主要国で普及する3Gスタンダードと違う構成となり、同サービスは孤立化してしまいました。ちなみに、欧米の文献では、この導入を「プレバージョン・ディプロイメント」とよんで、規格が決まる前におこなったことを示すこともあります。

 ところで、グローバル・スタンダードと違うと、なにが問題なのでしょうか。これはテレコム業界にとっては、大きなデメリットです。

 グローバル・スタンダードと違うとなれば、携帯端末やネットワーク機器は量産製品を使えず、特注することになります。もちろん、割高となります。ドコモは、後にこうした状況を修正するのですが「最先端を目指して、スタンダードで世界から孤立化する」失敗を犯したのです。

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