「早慶両方受かったら慶応」はまだわかる。だが「早明両方受かったら明治」もありえない話ではなくなってきたとしたら……。慶応に水を開けられ、明治と鎬を削り始めた早稲田の現況をレポート
早稲田大学文学部の3年生が言う。
「先日、あるIT系企業の面接で40代半ばくらいの面接官に、『君、早稲田なんだ。じゃあお酒飲むんでしょ? 馬場(高田馬場)で酔い潰れてたんだ? わっしょい(早稲田の名物的な安居酒屋)行って?』とまくし立てられてびっくりしました。どうやら早稲田のOBだったみたいです。
早稲田生っていうと高田馬場の安居酒屋で朝までだらだら飲んで、神田川近くのオンボロ下宿で夕方まで寝ていて、授業なんて出席もしないで雀荘に繰り出す、とかそういうイメージみたいですけど、そんなの昔の話ですよ。
僕はそんな居酒屋行ったことないですし、飲み会も月に1~2回くらい。たいていみんな終電で帰りますし、僕のいたマスコミ系のサークルでは、2年前にアフターの飲み会がなくなったくらいです。麻雀はやったことがないので、ルールもわかりません。
それにそんな無駄なことするくらいなら、企業の就職セミナーを一つでも多く回ったほうがいい。フェイスブックやツイッターで友達の動きはチェックしていますが、周りもみんなそういう感じです」
こうした現役生が増えているからだろう、最近、どの企業でも早稲田OBはこう口を揃えるようになった。
「いまの早稲田生はつまらない」
曰く、遊ばなくなった、酒を飲まなくなった、麻雀をしなくなった……。元内閣総理大臣・森喜朗氏('60年、第二商学部卒・75歳)は、何より問題なのは、「志の低さ」だと嘆く。
「いまの早稲田生に問いたいのは『東大には入れなかったけど、早稲田に行けば就職はなんとかなるだろう』という思いで来たんじゃないのか、ということ。そんな思いだから早稲田という大学の資質が問われるようになったんだと思います。本来、大学は就職のために行くものではなく、人間開発の場なんです。
私は、ラグビーに人生をかけてやってきました。勝つことも大事ですが、それ以上に汗と涙を流しながら競技に打ち込む過程が人間を大きくする。ラグビーを通して得たものはいまも私の財産です。
いまの学生は就職のためだけに大学を選んでいる。学生だけでなく、その親も、高校で教えている教師もそう。だから私学は『就職のための大学』になってしまうんです」