"中学受験の神様"日能研・小嶋隆社長に訊く 【後編】
プリント学習より効果的なやり方で、生徒たちの才能を伸ばします

---今後の日能研の経営について、どのような展望を持っていますか?

 先ほどお話ししたアンケートからも、「私立の魅力はまだまだ保護者に伝わっていない」ということがよくわかりました。その意味で、やれることはまだたくさんあると考えています。ただ、高校受験や大学受験に対応することは、将来も考えていません。

 一方で、小学生を対象にした別の塾として、数年前に立ち上げた「ガウディア」が高い評価を得ています。小学校低学年にも対応している点と、フランチャイズのシステムである点が大きな特色です。

 日能研は、中学受験を目指す子供が主に小学4年生から通い始める塾です。これは、ずっと僕たちが堅持してきたコンセプトです。それに対し、日能研を意識している部分もあるのでしょうが、小学1年生から受験に備えたカリキュラムを始める塾も多い。

 でも僕たちは、「中学受験の勉強は4年生からで十分だ」と考えています。なぜなら、受験の準備を早く始めすぎると、息切れしてしまうからです。

 ただ、そうは言っても、もっと早い時期から進んだ内容の勉強をやりたがる子供たちがいるのも事実。ガウディアを始めたのは、そのニーズに応えるためでもあります。

 今、小学校低学年の子供たちの多くが、いわゆるプリント学習の教室に通っています。日能研に来ている生徒たちの実に7~8割が、そういう教室に通った経験があります。

 既存のプリント学習のビジネスモデルは、どちらかというと「ジグソーパズル型の能力」の育成に対応している印象がある。「いかに正確に早く一つの答えにたどり着くか」「そのために、いかに大量の問題をこなすか」を重視した内容になっているんですね。

 20年前、30年前であれば、確かに十分なカリキュラムですが、これからの時代に対応する「レゴ型能力」を育てるには、もっと効果的な方法が別にあるのではないかと考えたのです。

 野球にたとえると、プリント学習のやり方で鍛えられた子は、ピッチャーにどんなに速い球を投げられても対応できるんです。時速160㎞の球でも、直球であればきれいに打ち返せる。

 しかし、カーブやスライダーを投げられたり、ストライクゾーンぎりぎりの球が来たりすると、急に打てなくなってしまいます。要するに、「ジグソーパズル型」の能力はうまく育つんですが、正解のない問題に答えを出す「レゴ型」の能力を伸ばす上では、最善とは言えないやり方なんですね。

 そういうことがわかっていたので、小学校低学年を対象に、新しい時代の「レゴ型能力の育成」のニーズに対応したものが日能研で作れないかと考えてスタートしたのが、ガウディアです。現在、380教室ありますが、急速に拡大しています。また、ガウディアの教材コンテンツを海外に輸出することも考えています。