"中学受験の神様"日能研・小嶋隆社長に訊く 【前編】
正解のない問題に創造的な答えを出す「レゴ型能力」が必要な時代です

---近年よく、「日本の企業でも社会全体でも、求められる人材が変わり始めている」と言われています。保護者は子供の教育に関して、どんな考え方をすべきでしょうか?

 僕自身も会社を経営していますが、欲しい人材のキーワードは「多様性がある」とか「付加価値を生み出せる」といったものです。昔と何が変わったか、わかりやすく説明するためによく例に挙げるのが、「ジグソーパズル型の能力」と「レゴ型の能力」です。

 かつて高度成長期に求められたのは、いかに正確に早く一つの答えを導き出せるかという能力。言ってみれば、ジグソーパズルを完成させる力でした。しかし、今はそうではない。50ピースのレゴを渡されて、そこから何か新しいものを作り出す力が必要とされているんです。

 レゴで作るものに、正解はありません。電車が作れるのでも、バスが作れるのでもいいし、飛行機でもバイクでも犬でもいい。自分の創造力を発揮して、人から求められるものを作れればいいんです。今の社会、特に企業が求めているのはそういう人材なんですね。

 こうした変化に、実は私立は敏感です。実際、その変化を反映して、入試問題も変わってきている。報道されて話題になった、今年の麻布中学の理科の入試問題「ドラえもんは生物として認められません。なぜですか」は、その典型例かもしれません。

 これには、「成長しないから」「子孫を残さないから」など、多様な答えが考えられます。たった一つの正解はありません。

 一昨年も、面白い入試問題がありました。「千円札の肖像画をあなたが選ぶとすれば誰を選ぶか、社会背景を踏まえて書きなさい」。これも、答えを書くのに独自の発想が必要な問題です。

 他に印象に残っているものには、「次の8つの鳥の足の写真から、キツツキの足を選びなさい」があります。昔の入試では、キツツキの足を記憶して、写真から選べば点が取れました。しかし、今は違います。どれかを選ぶだけでなく、なぜそれを選んだのか、理由も書く。そして、「理由」の部分の方が、配点が大きくなっているんです。

 実のところ、キツツキの足を見たことがある人は非常に少ないでしょう。仮に見たとしても、記憶している人はほとんどいないと思います。でも、キツツキがどうやって木に留まっているのかが想像できれば、足は見つけられるようになっています。

 私立は、こうした対処をいち早く行っているんですね。入学後も、「発想の多様化を育むためのカリキュラムの構築」という点で、私立は一歩先んじています。将来の社会に通用する「レゴ型の能力」を持った"人財"作りに、どんどん取り組んでいるんです。