"中学受験の神様"日能研・小嶋隆社長に訊く 【前編】
正解のない問題に創造的な答えを出す「レゴ型能力」が必要な時代です

---そういう状況の中、公立の中高一貫校に人気が集まっているようですね。

 保護者が公立の中高一貫校に対して持っているイメージは、すでに私立へのイメージとよく似てきています。公立への好感度が、はっきり上がってきているんですね。

 とりわけ今年、公立の中高一貫校への関心が一気に高まった感があります。東京都立の中高一貫校として初めて設立された白鴎の一期生が一昨年、大学受験を迎えたんですが、東大に5人、早慶上智に68人が合格しました。これが大きな注目を集めています。

 もちろん、大学進学の実績がすべてではありませんが、白鴎に行けば、かかる学費は年間でざっくり10万円、6年間で60万円前後。私立よりずっと安い費用で、こうした大学に行ける可能性があることが明らかになったのです。

 中高一貫は、もともと私立が持っていた仕組みでした。僕自身も私立の中高一貫校に通いましたが、高校受験もなく6年間を過ごせたおかげで、「やりたいことがやれた」という印象が強い。その上で、進路・進学をかなえることができました。

 私立を受ける保護者にも受験生にも、その部分への期待値が大きかったんです。それを公立が後追いをし、費用面での魅力も加わることになった。昨年、横浜にも新たな公立の中高一貫校ができましたが、大変な人気でした。

 2013年の入試では、私立と公立の中高一貫校の両方に合格した日能研の生徒のうち、59.8%が公立一貫校を選びました。日能研には公立の中高一貫校のコースはありませんから、彼らの多くは本来、私立希望だったはずです。ところが、途中で6割がスイッチングしてしまった。

 そんな現状を受けて、公立の中高一貫のビジネスのマーケットも大きくなっています。公立向けの専門コースを持っている塾は、かなりの人気になっているようです。

塾は「落ちこぼれ」と「吹きこぼれ」の両方を救う

---その状況は、私立受験を目指す小学生を応援する日能研のビジネスにとって、厳しくありませんか?

 すぐに厳しいということはありませんが、確かに、私立に行きたい人が増えてもらわないと困る部分はあります。

 首都圏には今、約290の私立の中高一貫校がありますが、定員割れをしている学校もあります。それでも学校経営が破綻しないのは、国からの補助金が出るからです。基本的に、学校は簡単には潰れません。

 ただし、そんな状況が続けば、間違いなく学校も困っていきます。その意味で、「私立に行きたい子供たちをどう増やすか」という点で、私立中学と僕たち日能研は利害が一致するんです。