米国の「Kickstarter(キックスターター)」や「IndieGoGo(インディーゴーゴー)」に代表されるように、近年、欧米を中心に、創作活動や起業、社会貢献活動などに対して少額から広く資金を募る"クラウドファンディング"が、資金調達手段のひとつとして定着してきました。
クラウドファンディングが広まるにつれて、プラットフォームごとの差別化も進んできました。フォトジャーナリズムのためのクラウドファンディングプラットフォーム「emphas.is」や、コミュニティジャーナリズムのための「Spot.us」など、ジャンル特化型のプラットフォームも数多く見られます。
また、差別化要因として、各地域に特化したクラウドファンディングサービスも次々と生まれています。とりわけ、先進国に比べ、起業家向けの資金調達手段が限定されがちな新興国において、クラウドファンディングは、新しい資金調達手段のひとつとして注目されています。
以下、新興国におけるクラウドファンディングの事例をいくつか紹介しましょう。
「Idea.me」は、ターゲット市場を一ヵ国に限定せず、ラテンアメリカ地域に広く展開しているクラウドファンディングプラットフォームです。現時点では、英語・ポルトガル語・スペイン語の3言語で展開され、通貨も米ドルのほか、アルゼンチン・ペソ、チリ・ペソ、ウルグアイ・ペソ、メキシコ・ペソ、ブラジルレアルの6通貨に対応しています。
2011年に設立されて以来、18ヵ月間で、180以上のプロジェクトが資金調達に成功しました。
「Idea.me」によると、ラテンアメリカ特有の事情として、クラウドファンディングに馴染みが薄いことに加え、スタートアップによる資金調達の歴史が浅く、起業家文化も未成熟である点が挙げられます。
このような現状をふまえ、「Idea.me」では、クラウドファンディングを実行する前に、各プロジェクトに対してカウンセリングや教育的なサポートを提供しています。つまり、「Idea.me」は、クラウドファンディングプラットフォームとしての機能のみならず、起業家の育成という役割も担っているのです。