米ケーブルテレビ業界団体のACA(American Cable Association)が「このまま値上げが続けば破局がくる。消費者はもっと批判をすべきだ」と悲鳴を上げて、注目を浴びている。
●"ACA: We Need a Cable Bill Crisis"(CATV請求書の破綻が必要だ)
Telecompetitor, 3/14/13
世界最大のCATV王国として知られる米国は、その料金プランもトップクラス。90年代からのインフレ率を上回る値上げに政府や消費者は眉をひそめてきた。にもかかわらず、張本人のCATV業界が"消費者からの批判をあおる"のだろうか。そこにはアメリカのもうひとつの顔「コンテンツ王国」との戦いが潜んでいる。
1980年代、CATV業界は米国のテレビ所有世帯の約8割を押さえて黄金時代を謳歌した。しかし、地域独占の弊害が表面化して、ケーブル料金はうなぎ登り。それを抑えるため、米国政府は90年代に衛星テレビ放送との競争を促し、今世紀に入っては大手電話会社によるIPTVの参入を認めた。おかげでCATVのテレビ世帯占有率は約5割まで下がった。しかし、肝心の月額利用料は上昇を続けている。
なぜ、市場競争が活性化しているのに、料金プランは下がらないのか。こうして新たな原因として注目されているのが、スポーツ番組や再送信料金だ。冒頭紹介したACA の記事は、その様子を如実に示している。
ここで上記の記事を少し要約してみよう。
〈 先週(3/12~3/14)ワシントンDCで開催されたACA年次総会では、番組調達料金の高騰で「われわれの事業は破綻の縁にある」と沈鬱なムードがただよっていた。大手CATV会社は番組供給で強い交渉力がある。しかし、我々のような中小事業者は大手の言うなりになるしかない。
ACAの会長Matt Polka氏は「地上波TV局との再送信交渉は厳しさを増し、契約更新ができず放送が止まる事態(blackouts)はますます増えるだろう」と警告している。スポーツ番組関係者は、これからも値上げができると思っているが、消費者はもっと非難の声をあげるべきだ。 〉