政治家のコミュニケーション能力をあぶり出すネット選挙運動の解禁

政策議論の可視化を妨げる公職選挙法

 ソーシャルメディアにおける議論のメリットは、端的に言えば次の2点だ。

  第1に、議論が可視化されること。
  第2に、可視化された議論がアーカイブされること。

 この2点において、私はインターネット選挙運動の解禁には重要な意味があると考えている。これまで政治家は選挙運動を選挙区内の決められた地域で行い、許されているのはポスターやビラ、ハガキの配付と、街頭演説や演説会、電話依頼。あとは政見放送ぐらいしかなかった。

 これらはいずれも選挙区内に閉ざされた場所でおこなわれる行為で、多くの人の目に触れる機会はあまりない。選挙区外の人の目に触れるのは政見放送ぐらいで、いったいどこでどんな候補がどういうことを言っているのかというようなことは、ほとんど可視化されていなかったのだ。

 こういう公職選挙法の規定では、候補は選挙カーに乗るか、駅前で声を張り上げて街頭演説するぐらいしか自分の意見をダイレクトに発信する機会はない。しかしたいていの勤め人は職場と住居地が離れているうえ、平日の駅前なんて暇そうなお年寄りばかりだ。そういう場所で真っ当な意見を述べたとして、いったいどれだけの人に受けとめてもらえるのだろう?というような疑問を候補者はもつことになる。

 だから結局は選挙カーで名前を連呼するか、もしくは日ごろから町内会まわりなどに精を出してどぶ板に徹するというような、「伝統的」選挙運動に傾いてしまうことになる。地盤(後援会)看板(知名度)カバン(資金)の「サンバン」が必須、などといまだに揶揄されているのにはそういう背景もあるからだ。

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