「30年後には世界銀行の代わりになる、そんな夢をもっています」  NPO法人「Living in Peace」の創設者慎泰俊(後編)

日本の若きグローバル・シェーパーズたち 第2回
MCフォレスト「森のコースター」

文:上阪徹

 NPOを立ち上げたのに会社を辞めなかった理由がもうひとつあった。自分に力がないのに、社会貢献などできるのか、という思いだ。まずはスキルを高めないといけない。そのためにも、会社にいる意味は間違いなくあった。とりわけ、金融業界で培った経験は大きく生きた。途上国には、金融サービスを受けられないことによって、なかなか貧困から脱却できない人たちが大勢いた。そんな人たちに融資するマイクロファイナンス機関を支援するファンドを、自分たちで立ち上げてしまうのである。

 貧困削減のために自分たちに何かできないか、というテーマで勉強会を開いたのが、2007年10月。マイクロファイナンスというテーマが見つかったのが、その半年後。そして世界銀行と一緒にイベントを実施したのが、2008年11月でした。

 イベントに来てくれた金融機関がたくさんありましたから、マイクロファイナンス向けのファンドをやりませんか、と声をかけていたんですが、動きが遅かった。じゃあ、自分たちでやろうと、ミュージックセキュリティーズという投資のプラットフォームを持つ会社に協力してもらって、12月から動き始めたんです。

 途上国で貧困層向けの融資がもっと拡大できるよう、マイクロファイナンスを手がけている会社にファンドを通じてお金を提供する。償還期限を決めて、ファンドが利益を生み出せば、投資家に還元する。投資家は、日本の個人にする。

投資先探しは信頼できるところからの紹介が一番

 ファンドというものがどういうもので、どうやって作るか。金融機関にいますから、わかるわけですね。ただ、どこに投資するか、まだ白紙の状態でした。どういう仕組みでやるのか、投資先の国をどこにするか、いろんな議論をしました。人にもたくさん話を聞きに行きました。

 これは本業でもまったくそうなんですが、投資先の探し方で大切なのは、信頼できるところから紹介してもらうということに尽きるんです。外から見てわかることは、たかが知れている。人のつながりで案件を探していく。インターネットで探して、なんてのは、やっぱり危ない。内情に詳しい人に聞くのは、鉄則です。

 そこで協力を仰いだのが、マイクロファイナンスのイベントに協力してくださった世界銀行の方に相談することでした。まずはフィリピンにある大規模なマイクロファイナンスを手がけていたところと業務提携をしました。この分野で実績を挙げてきた会社でした。

 そこからカンボジアの会社を紹介してもらって、現地に行って契約をした。2009年の9月に販売をスタート。今はベトナムにも広がって。ファンドを5つ作り、3つのマイクロファイナンス機関に投資しています。

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