Jリーグが開幕しました。週末にサッカーが行なわれる日常には、やはり気持ちが昂ります。私自身は2日、3日と、解説の仕事でスタジアムへ出かけました。選手とサポーターの熱に触れると、こちらも気持ちが引き締まります。
今シーズンのJ1は、「混戦」がキーワードになるでしょう。
開幕戦では昨シーズン覇者のサンフレッチェ広島が黒星を喫し、同2位のベガルタ仙台が引き分けました。仙台は昇格してきたヴァンフォーレ甲府を相手に、ホームで勝点3を逃しています。
両チームともに何人かの主力選手を欠いていましたが、ベストメンバーを組めないのは今シーズンの彼らにとって例外的な事態ではありません。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場に伴って、スケジュールが過密になるからです。
広島と仙台の昨シーズンを振り返ると、試合終盤の強さが際立っていました。どちらのチームも、残り15分からの得点が多かったのです。しかし、開幕節ではこの時間帯に粘り強さを発揮することができませんでした。広島は3シーズンぶり2度目、仙台は初めてのACL挑戦となりますが、ふたつのリーグを同時進行で消化していくことの難しさを、改めて感じていることでしょう。
ACLには浦和レッズと柏レイソルも出場していますが、こちらはまずまずのスタートを切りました。浦和は広島を2対1で退け、柏は川崎フロンターレに3対1で快勝しています。柏はACLでも白星を飾りました。日本から出場する4チームでは唯一です。
広島と仙台はいきなり試練に直面していますが、浦和と柏にも難しい時期は訪れるでしょう。昨季の上位チームが過密スケジュールに苦しむと、リーグ戦は混戦の度合いを増していくでしょう。
混戦と同時に「継続性」もキーワードにあげられます。同じ監督のもとでチーム作りを進めるのが、ここ最近のJ1リーグの傾向だからです。
継続性を重視するチーム作りについて、私自身は全面的に首肯できません。それによって成熟度が高まり、より高度な戦術が駆使されるとすれば、観客にひとつの魅力を提供することになります。しかし、私が危惧するのは「継続性」がもたらす負の側面、具体的に言えば、変化の乏しさです。
「今年はどんなチームになるのだろう」というファンの期待は、昨シーズンからの変化を見たい、感じたいという欲求の表れと理解できます。そこで、同じようなサッカーが繰り広げられたら? 観戦の熱は次第に冷めてしまうでしょう。持続的な盛り上がりが期待できないのです。実際にJ1リーグの各チームを見渡すと、新たな試みを取り入れるチームは少数派に属しています。