[WBC]
初戦はブラジルに辛勝、8回に逆転

スポーツコミュニケーションズ

チームを救った国際大会経験者

 4番・阿部慎之助が右ヒザを痛めてスタメンから外れた打線も、荒れ球の先発ラファエル・フェルナンデスをとらえきれない。3回には4番・糸井嘉男のライト線へのタイムリーで1点をあげたが、続くチャンスでは稲葉篤紀が空振り三振に倒れた。

 4回には2番手のムリーロ・ゴウベアに対して、松田宣浩がヒットエンドランを成功させ、一、三塁とチャンスを拡大。これが坂本勇人の犠牲フライを生むが、5回以降は188センチの長身から投げ下ろすゴウベアのピッチングにヒットが出なくなった。

 6回には長野久義が四球を選んで貴重なランナーとなるも、決して大会前から当たりの出ていない鳥谷敬に普通に打たせて最悪のダブルプレー。7回を終えてもビハインドの状況が続き、日本ベンチに重たい空気が漂い始めた。

 そんな中、チームを救ったのは国際大会で修羅場を経験している選手たちだ。8回、先頭の内川聖一が左腕の仲尾次オスカルに対し、レフト前ヒットでのろしをあげる。糸井が送って、山本監督は井端弘和を代打に告げた。

 23日のオーストラリア戦でも鮮やかなライト前ヒットで相川亮二の3ランを呼び込んだベテランは、またも芸術的な右打ちをみせる。クロスファイヤー気味に入ってきたストレートを一、二塁間へ。二塁から内川が生還し、まずは同点に追いついた。

 さらに長野が内野安打でつなぎ、鳥谷敬がストレートの四球で歩いて1死満塁。この大チャンスに指揮官は「慎之助しかない」と阿部を代打に送り込む。「皆がつないでくれて最高の場面で使ってくれた」と振り返るキャプテンが初球をたたくと打球はセカンドの左を痛烈に襲った。白球は飛び込んだブリンのグラブをはじき、二塁をアウトにするのが精一杯。三塁走者が還り、日本が勝ち越す。なおも松田のタイムリーが飛び出し、リードは2点に広がった。

 阿部はそのままマスクもかぶり、8回は能見篤史、9回は牧田和久とバッテリーを組んでブラジル打線の反撃を許さなかった。チームの大黒柱は「初戦って、皆、固くなるから難しいんですよ」と、思うようにいかなかった試合を振り返った。山本監督も「まず1勝できたことが明日につながる」と、ホッとした表情をみせた。

 3日に対戦する中国は戦力的にはブラジルよりも落ちる。初戦を乗り切って少しは緊張感もほぐれるだろう。今度はスッキリした勝利で、6日のキューバ戦を迎えたい。

(石田洋之)