[サッカー]
大野俊三「Jリーグ開幕、本命は広島!」

スポーツコミュニケーションズ

20年目、Jへの提案

 J2についても触れておきましょう。今季はJ1から降格したガンバ大阪が中心になることは間違いありません。日本代表MF遠藤保仁、DF今野泰幸ら主力が多く残留し、戦力は他クラブを大きく上回っています。Jリーグを代表するクラブのひとつですから、個人的には1年でJ1に戻ってきてほしいと感じています。

 G大阪が降格した主な要因は、守りが崩壊状態だったからです。昨季はJ1最多得点(67)の一方で、失点が同ワースト2位(65)でした。今季はディフェンス面を徹底的に整備してくるでしょう。このチームには今野という日本を代表するDFがいます。今までは攻撃第一のチームだっただけに、守備に比重を置けばバランスのとれたサッカーを展開できるのではないでしょうか。近年J1タイトルを獲得した広島や柏の共通点は、J2降格を経験して、這い上がってきたということ。G大阪にも、降格の悔しさをバネに、J1で再び頂点に立てるクラブに蘇ってほしいと願っています。

 また、昨季は初めてプレーオフ(PO)制度が導入され、終盤まで熱い戦いが続きました。PO圏内を争うクラブ間の実力は拮抗しています。その中を勝ち抜いていくポイントは、監督の考えたゲームプランを選手たちが忠実に実行することです。監督は選手がどのような考えでプレーしたいのかを把握すべきですし、選手も積極的に自らの意向を伝えるべきでしょう。広島の森保一監督や仙台の手倉森誠監督は、その辺のコミュニケーション力にも優れているように感じます。自分の考えを伝え、選手の意見もピックアップしながらチームをまとめあげる。監督と選手の相互理解が深まった結果が、昨季の好成績につながっているのではないでしょうか。

 今季、20年目を迎えたJリーグで実現できたらいいなと考えていることがあります。それは、20年前、10年前、そして現在の試合や選手たちのプレーを比較するのです。。たとえば、スタジアムで試合前に、20年前の同じ対戦カードの試合映像を流した後に、実際の試合を観戦する。そうすることで「20年前は考える時間と動き出すスペースが多かった」「スピード感が全然違う」といった違いがはっきり分かると思っています。

 現在、Jリーグのピッチでボールを追いかけているのは、Jリーグがスタートした時に子供だった選手たちがほとんどです。彼らが、「いつかJリーガーになる」と夢見て努力してきた結果が、リーグの成長につながっています。近年は多くの日本人選手が海外に出て行ってしまい、Jリーグがつまらなくなったという声も聞こえてきます。だからこそ、昔のJリーグと比べることで、今のJリーグの魅力を実感してほしいのです。Jリーグの関係者の皆さんには、ぜひ僕のプランを検討してもらえるとうれしいですね。

大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール>
元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アント ラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引 退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima- hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年J リーグベストイレブン、元日本代表。