橋上秀樹 WBC戦略コーチ
「選手の迷いを断つ。それが私の仕事です」

さあWBCだ! その1
フライデー プロフィール
(左)日本代表のトップバッター候補、巨人の長野久義。シーズン中から、「橋上メソッド」は充分に理解している
(中)メジャーにもっとも近い男・オリックスの糸井嘉男。187㎝88㎏の身体は代表のなかでもひと際大きく見える
(右)ソフトバンクの松田宣浩。代表合宿では、もっとも大きな声を出し、チームのムードメーカーに徹していた〔PHOTO〕今井隼人

「ジャイアンツでもそうでしたが、目標としているところはみんな一緒ですから。今回、日本代表の主将を務める阿部がジャイアンツでも率先して私のアドバイスを取り入れていることを知れば、興味を持ってもらえると思います。

 実際、昨年11月のキューバとの強化試合では全体ミーティングの後に松田(宣浩・ソフトバンク)、糸井(嘉男・オリックス)、大島(洋平・中日)が個別に話を聞きにきてくれました。『この状況ではどんな球を狙ったら確率が高いですか』など、かなり掘り下げた内容でしたよ。糸井は日本シリーズでジャイアンツにかなり抑えられたということもあったのでしょう。話を聞いて、自分がどうやって封じられたのかを知れば、もうひとつ成長できると思ったのかもしれません。

 もちろん、キューバの投手が対戦したことのないピッチャーだということもあったでしょう。WBCでもそういう試合がほとんどになるわけで、こちらは各国の情報を収集してデータとしてしっかり提示できるように準備しておきます」

 各国の予選での戦い方や、強化試合の映像や情報などは集まってきている。しかし、ペナントレースを戦っているときのように十分な量が得られるわけではない。そこで橋上コーチの「経験」がモノを言ってくる。

「たしかに選手に伝えるために必要な情報などは圧倒的に少ないうえ、対日本のデータでもありません。そのなかからいかに、選手、チームにとってプラスになるものを探し出せるか。データというのはたくさんあればあるほどいいわけでもありません。10個も20個も選手に話したところで全部は頭には入らない。本当にポイントとなる2~3個を伝える。集まってきた情報やデータをいかに精査して、絞り込んでいくか。それが一番難しいんです。打つべき選手には配球のことを言いますし、大事なところで走らなければならない選手に対しては牽制のことを教えておかないといけない。守備では守る位置はもちろん、相手バッターの打球方向など、選手の役割によっても伝えるものは違ってきます。いかに〝試合で使えるデータ〟を作るかなんです。