週現スペシャルこれぞ、究極の格差社会 使える理系使えない理系【PartIII】 理系の頂点「東大理Ⅲ」の人々の頭脳

週刊現代 プロフィール

 はやぶさ2は、小惑星イトカワから岩石サンプルを持ち帰り、3本もの劇場公開映画が作られた探査機はやぶさの後継機だ。

「よく、宇宙探査をして何の役に立つのかと訊かれます。小惑星から砂を取ってきてどうなるんだと。

 科学的には、イトカワから物質をほんのちょっとだけでも持ち帰って分析すると、46億年前に太陽系がどのようにして生まれたか研究できる。でも日常生活にはなかなか結びつかない。

 極端な言い方をすれば、科学は一種の芸術なんですよ。画家の絵だって、世界中の人がいい、と認めてくれるわけではない。科学も同じなんです」(吉川氏)

 私たちがイメージする「科学者」が、自分の殻に閉じこもり、ときには社会の常識を逸脱しても研究に没頭するような人々なのも、科学の芸術性ゆえなのか。

「でも、他人とコミュニケーションもできないような浮世離れした天才科学者というのは、現代の科学の現場にはあまりいませんよ。

 はやぶさ計画もそうですが、いまや最先端の科学研究というのは、たくさんの人がかかわるチームプレイです。それができなければ、画期的な成果は出せないでしょう」(同前)

 一方、数々の研究者と接してきたサイエンス作家の竹内薫氏は、いままで出会った日本の研究者のなかで並外れた天才なのだと実感した人が2人いる、と話す。

山中教授はここが天才的

「ひとりはノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都大学名誉教授。理論物理の先生ですが、あの方は実質、数学者ですね。研究室の本棚にも物理の本はなく、全部数学の本なんです」

 そんな益川名誉教授の取材時に、竹内氏は思わぬハプニングに遭遇した。

「事前にアポをとって、朝一の新幹線で京都に行って研究室にうかがったら、先生がいない。どうやら、散歩の途中でどこかに行っちゃったというんです。アイデアが生まれると意識がそちらに集中して、取材なんて俗世間のことはどこかに行ってしまう。数学者的な傾向ですよね」

 前出の数学オリンピック財団・小林理事長も、数学の天才少年たちと旅をして驚いたという。

「国際大会に行くとき、飛行機の乗り換えで急いでいるのに、立ち止まってボーっとしている子がいた。『何をしてるんだい』と訊いたら、飛行機の離発着時刻を表す、数字がカタカタ回るボードがあるでしょう、あれに次々と表れる4ケタの数字が素数かどうか見ていたという。私なんてとっさに見たなら100以下の素数しか分からないのに(笑)」