週現スペシャルこれぞ、究極の格差社会 使える理系使えない理系【PartI】「理系は就職に有利」で選んだ人間の悲劇——文系と違い、ごまかしがききません

週刊現代 プロフィール

 職場にも居づらくなって、ようやくハッキリ気づいたんです。ようするに僕は学校でそこそこ勉強ができたから中途半端な気持ちで理系を選んだだけで、別にたいした興味も関心もなかったんだと。

 ちょうどその頃、子供が生まれたんですが、生後すぐから病気がちで。それなら空気がよくて、自然の多いところに移ろうかと思って、退職しました」

 今年の大学受験シーズンも終盤戦にさしかかっているが、いま受験戦線では、理系に進学したいと希望する受験生が増えている。

 大手予備校の河合塾が'12年に行った全国模試の分析では、理系志望の受験生は前年から約7%増加。この増加傾向は数年前から続いている。不況下でも理系学科を卒業すれば就職しやすいと言われるためだ。

「それでも、私は『就職に有利だから理系に進んでおこう』というのは、やめたほうがいい、と受験生やその親たちに伝えたいです」

 こう語ったのは、3年前、私立大学の工学部を卒業した20代の女性だ。

「私は、ずっと母から『文系は事務職か営業職にしか応募できないけど、理系なら事務職も営業職も技術職も狙える。あんたは人当たりが悪いんだから、営業なんか向いてない、だからちょっと背伸びしても理系に進みなさい』と言われてきました。でも背伸びしていて、いいことなんてひとつもなかった」

 高校3年生のときには、苦手な数学と格闘した。模擬試験の問題に書かれた数式の意味さえ分からず、会場で悔し涙を流したこともあったという。