「地頭がいいヤツ」の研究 第2部 就活の「地頭テスト」って、どんな問題なの? 第3部 人事部のみなさん、地頭がよくても仕事ができない人はいっぱいいます

 与えられた課題だけをこなしてきた人間には、「みずから努力して切り拓く」方法がわからない。安藤氏が続ける。

「高校卒業後独学で建築を学び、世界放浪もして、28歳で独立して事務所を設立しました。仕事はまったくない。当然です、学歴も社会的基盤もない身なんですから。

 毎日、冷房のない部屋で寝転んで、天井を見ながら本ばかり読んでいました。おカネもなく、いつも腹を空かせていましたが、絶望はしていなかった。

 将来に不安はありましたが、ここを何とか自分の力で乗り切るんだという覚悟もあった。逆に不安があるからこそ、緊張感が途切れない、真剣勝負の気持ちを持ち続けられたのだと思っています」

頭の回転の速さを解明する

 続いては、天才芸人と呼ばれる爆笑問題・太田光の妻・光代氏。彼女は太田の事務所社長でもあり、橋下徹・大阪市長の個人マネジメントもしている。

「太田の引き出しにあるのは学校で教わったものではなく、個別の勉強で得たものです。彼は頭がいいというか、物事の捉え方が独特で鋭い。意外な角度から切り込んで、なるほど、そういう考え方もあるか、と思ってもらえる人です。

 彼は学校の勉強は得意ではなかった。通信簿にはよくできる国語以外、3が並んでいたようです。

 実は太田は、いまだに足し算と引き算ができない。正確に言えば完全にできないのではなく、たかが二桁の引き算でも驚くほど時間がかかるんです。でも逆に、普通の人には解けない難しい問題が解けたりする」

 わかりやすく言えばこういうことだ。35-17という引き算があったとすれば、まず17の1の位7と、35が7の5倍であることに注目する。7の5倍から7を引けば、7の4倍の28。そこから、残りの10を引いたら18……。

 そんな計算方法は、学校では教えない。

「ある数学の先生が、太田のような頭の人のほうが新しい式を発見する 可能性がある、と言ってくださいました。その先生によれば、数学は本来、国語的なものだそうです。決して答えを出すことが目的ではなく、答えに到達するた めの『式』を作るのが目的だと。学校で教えるのは最も効率がよいと言われる解き方にすぎなくて、実は数多くの解き方が存在する。その意味では太田の解き方 も間違ってはいないんです。

 橋下さんは本当に『頭の回転が速い人』という印象で、1を言えば10を理解し、あれほど仕事がやりやすい人はいない。太田と橋下さん、二人とも頭がいいと思いますが、少し種類が違うと感じます」