「地頭がいいヤツ」の研究 第2部 就活の「地頭テスト」って、どんな問題なの? 第3部 人事部のみなさん、地頭がよくても仕事ができない人はいっぱいいます

同じ数字を下の図のように線でつなぎ、マス目をすべて埋めるパズル。線と線が交差してはいけない(パズル提供/ニコリ)

 反射、すなわち直感を鍛えるには、もっと有効なパズルがある。同じ数字同士を線でつなぐ、「ナンバーリンク」(左に掲載)というパズルだ。

 パズルを考案したニコリの鍜治真起社長が言う。

「クイズは知識で、パズルは知恵。パズルを解くには直感力や観察力、好奇心、想像力、前向き思考などいろいろな能力が必要とされる。そもそもパズルは遊びですから、なにより大切なのは遊び心です。

 そして、パズルの世界でも重要なのが経験です。経験を積んでいくと難しい問題でも解けるようになる。続けているうちに何かが見えてくる。経験に基づいて新しいものを発見する、これは頭を鍛えることにつながります」

 今回、ナンバーリンクを掲載したのは理由がある。ニコリが考案したパズルでは「数独」が有名だが、数独で人間とコンピュータが競争すると、人間にはなかなか勝ち目がない。パズルはたいていがそうだ。

 だがナンバーリンクだけは、これよりもっと大きなマス目数で戦うと、コンピュータより人間のほうが早く解けることもあるのだという。鍜治氏が続ける。

「コンピュータの能力はトライアルアンドエラー。すべてを試してダメなものを消していく。だからコンピュータは律儀にすべて調べる。でも、人間には直感力やひらめきがある。経験から、試さなくても『これは無駄』とわかる。

 直感やひらめきは人間ならではのもので、それこそが知恵だと思います」

 直感を頼りに右のパズルを解いてみて、面白いと思ったら、もっとたくさんの問題にアタックしてみてほしい(パズルの正解は最終ページ)。繰り返し解いていけば、将棋の棋士のように、あなたにも「直感の線」が見えるようになるかもしれない。

 先ほど「人間がコンピュータに勝てる」という話が出たが、これは「頭の良さ」を研究する上でとても重要なポイントだ。前出の池谷氏が言う。

「たとえば人間は、一度会った相手が、次に会うときに違う服装や髪型をしていても、すぐに同一人物だとわかる。同じことをコンピュータにさせようと思ったら、相当膨大なプログラムが必要になります。

 人間の脳は一度会ったときの記憶を確定せず、曖昧に覚えておくこと ができるのです。これは素晴らしい能力。逆に言えば、ラピッドラーナー(速く学習を完了する人)は、私にはあまり頭がいいようには思えません。ラピッド ラーナーは表面的な情報に釣られてしまう。さっきのたとえで言えば、一度会って『これがAさんだ』と記憶を確定すると、次に会ったときに最初は別人だと認 識し、それから『そうか、こっちがAさんなのか』ともう一回覚え直すことになる。

 日常生活や仕事に置きかえると、ラピッドラーナーは目先の情報に右往左往して、なかなか物事の本質がつかめない。しかも、そのやり方ではコンピュータには勝てません。曖昧な記憶、遅い学習、それこそが人間ならではの『頭の良さ』なのです」

 反射力、直感力、曖昧さを受け入れる鷹揚さ。本当に頭のいい人を見分けるキーワードが、徐々に出揃ってきたようだ。