「地頭がいいヤツ」の研究 第2部 就活の「地頭テスト」って、どんな問題なの? 第3部 人事部のみなさん、地頭がよくても仕事ができない人はいっぱいいます

「結局、面接官の力量にメチャクチャ左右されるわけです。コンサルと 違って面接官はこういう問題解決の訓練を受けていないから、『オレもそう考えるよ』と自分にとって納得できるものは評価するけど、仮に解答者が面接官のは るか上のレベルで、すごく新しいことを言ってしまうと、たぶん評価できない。

 結局は、面接は面接官の力量に左右される、という従来の課題が、まったく解決されていないんです」

どれだけ批判できますか?

 別の批判もある。猫も杓子も「新しい物」に飛びつくことで、その存在価値がなくなるという側面だ。

「十数年前、マッキンゼーの先生がこういった『ロジカルシンキング (論理的思考)』の講座をやると、『初めてそんなの知った。すげぇなぁ』という感じだったんですが、いまや元マッキンゼーの人はいたるところにいて、コモ ディティ化(一般化)しちゃったんですね。学生にとっても何の目新しさもない」(人事コンサルタントの曽和利光氏)

 曽和氏はさらに、根本的な疑問点を指摘する。

「もっと言えば、こんなロジカルシンキングが求められる仕事って、世 の中にどれくらいあるでしょうか。この思考はむしろ東大や京大の数学受験に必要なもので、実際のビジネスは、足し算、引き算といった加減乗除レベルの世界 でやっている。『ロジカルシンキングって本当にビジネスに必要なの?』という話です」

 戦略コンサルティング会社は、こうした「もっともらしい論理的な思考」を、問題解決法として企業に売るのが商売。だから彼らにとってこの技術は不可欠だが、他の仕事に必要とは必ずしも思えない。

「たとえば出版業界には、100の無駄の中に1の当たりがあって、その1が200稼ぐ、という博奕のような側面がある。コンサルは『無駄をなくすた めに』という論理展開は実に見事にするけど、『当たりを5倍に増やす』なんて提案はできない。要は、問題設定の前提が違うわけで、何の役にも立たない」 (大手出版社幹部)

脳の曖昧さが素晴らしい

 前出の曽和氏は、これから求められる思考はこういった「地頭テスト」では計れないと断言する。

「必要なのはロジカルシンキングではなく、クリティカルシンキングで す。つまり物事を批判的に見る目。ロジカルシンキングは『AならばBである』という論理を大事にして、その理屈がちゃんと通っているかで勝負しますが、ク リティカルシンキングは『そもそも本当にAなの?』と前提条件を疑うのです」

 ここで第1部で池谷氏が提唱した「反射力」につながる。真っ当なビジネスマンが冒頭のQ1の質問をされたとき、反射的に抱くのは「忙しいし、そんな屁理屈ごっこに付き合いたくない」という感情だ。

 その「真っ当な感覚」こそが仕事をする上では大切だと、「仕事ができる人」たちの意見はきっと一致することだろう。