無人航空機(Drone)は何故、人を攻撃するようになったのか?

昨年9月、民主党全国大会を前に行われた抗議デモ 〔PHOTO〕gettyimages

 鳥のように上空を舞い、テロリストを見つけるとミサイルなどで攻撃する無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle: UAV、通称Drone)。この使用を巡って、今、米国政府が国内外で非難の嵐にさらされている。

 米外交問題評議会(CFR)などの調査によれば、パキスタンやイエメンなど「テロとの戦場」となる国々では、2004年から今日まで米軍による無人機を使った攻撃が400回以上も遂行され、それによって3000人以上(その多くはテロリスト)が死亡したと見られる。

巻き添え被害が多発

 問題は、それによって一般市民も多数、被害に遭っていることだ。

 ニューヨーク・タイムズによれば、今年の1月には、イエメンの村落で21歳の大学生とその伯父が、米国の無人機によるミサイル攻撃で死亡した。この二人はテロリストではなかったが、自動車を運転中に、見知らぬヒッチハイクの男たちをクルマに乗せたばかりに攻撃目標にされた。この男たちがアルカイダのメンバーだったからだ。

●"Drone Strikes' Risks to Get Rare Moment in the Public Eye"
The New York Times, February 5, 2013

 他にも、日ごろ地域住民から尊敬されていたイエメンの勇敢な族長が、テロを食い止めようとしてアルカイダと交渉している最中、上空から無人機に攻撃されて死亡したケースなど、巻き添えの被害が多発しているという。正確な数字はないが、少なくとも数百人の非戦闘員(無実の市民)が無人機による攻撃で死亡したと見られている。

 こうした地域では、無人機が次の攻撃目標を定めるべく、上空を数日から数週間に渡って旋回し続ける。それを連日、下から見上げる住民たちの間には、無人機に対する恐怖と米国に対する憎しみが広がっているという。このため米国の軍事専門家の間でも、「たとえ無人機によってテロとの戦いに成果を収めたとしたも、(諸外国における米国の悪評など)長期的な国益を損ねることになるのでは」との懸念が生まれている。

 そうした中、米国では先頃、CIA(中央情報局)の次期長官にノミネートされたジョン・ブレナン氏が、議会の承認を得るための公聴会で喚問された。同氏は第1期オバマ政権において、テロ対策チームのリーダーとして、無人機による攻撃作戦で中心的な役割を果たした人物とされる。

 ニューヨーク・タイムズによれば、オバマ政権内部には、無人機の攻撃目標となるテロリストを列挙した極秘リストがある。そこから次に誰を攻撃すべきか大統領が選ぶ際には、必ずブレナン氏の助言を仰いでいたという。

 問題はそれらの攻撃が連邦議会やメディアなどを通じて、公にきちんと議論されないまま実行に移されたことだ。公聴会でのブレナン氏にも無人機に関する質問が集中したが、実は米国民がこれに関心を持ち始めたのは、つい最近のことである。

 つまり、人々がよく事情を知らない間に、政府が独自の判断で無人機による攻撃をどんどんエスカレートさせていった。最近になって、ようやく実態を知った大半の米国民にしてみれば、寝耳に水であったようだ。

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