週現スペシャル いまや一流企業の採用基準は「学歴より地頭」が重視されるというけど「地頭がいいヤツ」の研究
第1部 ガリ勉して頭がいい人はダメ

週刊現代 プロフィール

 前出の大久保氏も、脳科学ではなく長年採用の現場を見てきた経験から言う。

「採用試験では論理的思考力を見るだけでなく、コンピテンシーあるいは基礎力と呼ばれるものもチェックするべきです。基礎力とは、その人の行動パターンというか、身についている行動形態ですよね。人とコミュニケーションするときの行動パターンとか、自分自身をコントロール、制御する際のやり方。その人が身につけている、論理ではごまかせない対人スキル、対課題スキル、対自己スキルといった部分は、当然重要視しています」

 まとめると、地頭(言語性IQ)+反射力(非言語性IQ)、両方をバランスよく持っている人が、仕事のできる人、ということになりそうだ。

 あるIT企業の採用担当幹部が言う。

「実はウチでは数年前から、私立中学出身者はなるべく採用しない、という方針をとっています。大学付属の中高一貫校出身者は、まず取らない。なぜなら彼らは小学校時代だけガリガリ勉強して、あとは10年間、いつも決まった仲間とだけ遊んで過ごしてきた確率が非常に高い。勉強の面でも経験の面でも物足りない人材が多いのです。

 私立といっても、灘、開成、麻布クラスの超進学校になれば、また見る目は変わります。大学付属でもないし、彼らほど突出していれば勉強は『やらされるもの』ではなく『やりたいからやるもの』であるケースも多いからです」

 全国学力研究会の河本敏浩理事長も、この発言を裏づける。

「最近、企業の採用担当者が中高大のヒストリーを見るようになりましたが、最も欲しがられる人材は『公立中学→地元の名門公立高校一流大学』という経歴を持つ学生です。これからの国際競争を勝ち抜くためのタフな現場では、タフな人材が求められる。だから公立育ちの『経験』が評価されるのです」

 ガリ勉をして受験知識を詰め込むより、良い経験をたくさんして「反射力」を鍛えたほうが、仕事のできる人材になる。

 そして、反射力は社会人になってからも、伸ばすことができる力なのである。


「週刊現代」2013年2月16・23日号より