週現スペシャル いまや一流企業の採用基準は「学歴より地頭」が重視されるというけど「地頭がいいヤツ」の研究
第1部 ガリ勉して頭がいい人はダメ

週刊現代 プロフィール

「学生が多くの会社を受けるようになり、面接にも慣れ、練習をするようになった。そうすると『騙し合い』の状況なわけです。たかだか10分の面接ならいくらでも演技はできる。

 そもそも面接官がつけるスコアがアテにならないことは、統計的にも証明されています。2年間くらいは仕事の評価とも連動性があるんだけど、その先になるとほとんど関係がなくなってしまう。

 つまり、短期的に会社に馴染みやすい人は面接でも見分けられるけど、中長期的にリーダーになる人材は見抜けないんじゃないか、という永遠の課題が面接にはあるんです」(リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長)

 そこで昨今、叫ばれるのが「学歴や人柄より地頭が大事だ」というフレーズ。書店の就活コーナーにも「地頭力」と名のつく書籍が溢れている。

 ではそもそも、「地頭」とは何なのか。大手商社マン(私大卒)が言う。

「地頭の定義はよくわかりませんが、大学生のエントリーシートを見ると、『IT系のアルバイトでプログラムを整理し、労働時間の短縮に成功した』とか、自分がいかに優秀かを書き連ねる東大生がいる。東大生が優秀さを自慢するのは、キムタクが『いかにモテるか』を自慢するのと同じで嫌味になることが、彼らにはわからない。少なくとも、周囲を不快にする人間は学歴が高くても『頭がいい』とは思えません」

 冒頭の東大女子の例もしかり、勉強ができることと社会に通用する「頭のよさ」はまるで違う。

脳科学者はこう指摘する

 ではここで、「地頭」を科学的に分析するには最適の人物にご登場願おう。

 脳科学者・池谷裕二氏。ベストセラー『進化しすぎた脳』、最新刊『脳はこんなに悩ましい』(共著)など、最新の脳科学の知見を「わかりやすく、面白く伝える」著作を数多く発表してきた。池谷氏が言う。

「昔は『IQが高ければ高いほどいい』と言われていましたが、最近になってわかったのは『言語性IQと非言語性IQ(相手の仕草から真意を悟ったりする力)のバランスこそが重要』ということです。両方高いに越したことはないですが、多少数値が低くても、二つのバランスが取れていればそれでいい。

 これは私の推測ですが、片方が突出して高いと、そっちばっかりを使っちゃうんです。両目の視力が極端に違うと、見えるほうの目だけで見てしまうのと同じで。言語性IQだけ突出している人が、世に言う『勉強はできるのにね……』という人になる」

 池谷氏はさらに、「数値が高いだけでは意味がない」と指摘する。

「どうすれば言語性IQが高くなるのか、脳科学的にはまだ解明されていませんが、言語性IQはヒトが際立って進化させてきた『大脳新皮質』の領域に属するものです。もちろん言語性IQも無視できない要素ですが、私の結論としては、人の頭の良さは言語性IQの数値ではなく、『反射力の高さ(よさ)』で決まると考えています。非言語性IQも、反射力と密接に結びついている」