The Face +制球マスターが明かした「投球術」「ジャパン」 吉見一起(中日ドラゴンズ)無四球、無三振が僕の理想

フライデー プロフィール
「ストライクゾーンが広い球審だったら『今日は勝った』と思うんです」とは本人の談。コーナーを丹念に突くピッチングが真骨頂だ

「でも、納得はしていません。勝ち星とか数字のことを話すのは好きじゃないけど、落合(博満、前中日監督)さんの言葉が頭に残っているんです」

 一昨年の日本シリーズ終了直後のことだ。吉見が名古屋市内で食事に出かけると、落合前監督が偶然同じ店に顔を出し、そのまま酒を酌み交わした。

「落合さんに『あと1年だな。5年連続で2ケタ勝てばエースと認める』と言われたんです。それで『ハイ!』って元気よく返事したんですが、落合さんは『あっ、でも俺の中で2ケタってのは15勝のことだけどな』って(笑)。だから去年の僕は(2ケタ勝利を)達成できてないと思っています」

 相撲でも、横綱は「10番勝ってやっと勝ち越し」と言われるように、落合氏も吉見には敢えて高いハードルを課したのだろう。

階段が育てた〝制球王〟

 そんな右腕の最大の武器である〝制球力〟のルーツは、小学生時代に遡る。

「子供の頃は団地住まいだったんです。そこで毎日、放課後にしていたのが『的当て』でした。団地の1階玄関に上がる4段の階段があって、1段目の1番から4段目の4番までを予告してボールを当てるゲームです。車1台分の道を挟んだ距離で、使うのはテニスボール。友だち相手に負けたことはなかったですね」

 このオフ、郷里の京都府福知山市を訪れた吉見は、十数年ぶりにその〝原風景〟へと還った。

「低っ! と思いました。当時は普通にやってたけど、あんな低い場所に投げてたなんて、我ながらスゴイなぁと(笑)」

 精緻なコントロールに加えて、低めへ投げる意識---。「いま思えば、あれが生きている」と吉見は言う。

 勝負どころでは「ドアノブほどの大きさをイメージして投げ込む」と語るほどの制球力を誇る吉見だが、そこに至るまでは案外アバウトだという。

「状況にもよりますけど、初球は直径50cmぐらいの円の範囲をめがけて投げています。2球目は30cmぐらい。でも、早いカウントから果敢に振ってくる打者には、初球からドアノブに投げるイメージです。狙ったコースに変化球をピュッと曲げて打ち取ったら『わっ、ハマりよった!』って感じですね(笑)」

 吉見のポリシーは「打者一人を3球以内で仕留めること」だと言う。であれば四球は論外に違いない。そう水を向けると、こう返すのだ。