ポチ記者たちの「特ダネ競争」の時代はもう終わった。記者のコミュニケーション能力やITスキルの高さが信頼を生むメディアとなる

新聞社に入社して最初に教わったこと

 インターネット上に公開されている情報を基に、メディアあるいはジャーナリストが新たな付加価値を加えて、どんな情報を読者、視聴者に届けられるか。前回まで、そんな視点から「ニュースの思考法」について考えてきた。

 復興予算の流用問題が暴露された経緯やデータ・ジャーナリズムの試みは、いずれもネットに公開されている情報が出発点になっている。これは私にとって、ニュースというものを根本から考え直させる新鮮な出来事だった。ここでいったん、議論のポイントをまとめておきたい。

 私が新聞社に入社したのは1977年だ。当時、会社の幹部や先輩から最初に教わったことの1つに「とにかく取材相手に信頼される記者になれ」という言葉がある。「人間として相手に信頼されなければ、いい情報はもらえない」という趣旨と理解していた。

 たしかにそういう面はある。取材対象に「なんだ、この記者は」と思われてしまっては、相手にされないだろう。しかし「情報源に信頼される記者に」という教えについて、いま私は、必ずしも言葉通りに100%同意しない。

 なぜなら、それは「相手のポチになれ」という面を含んでいるからだ。たとえば多くの場合、官僚が記者の情報源になる。そこで「官僚に信頼される」というのは「官僚にとって都合のいい記者になる、すなわちポチになる」というのと同義である場合が非常に多い。

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