[サッカー]
大野俊三「今年こそ強い鹿島を見たい」

スポーツコミュニケーションズ

鵬翔が備えていたPKで勝つ要素

 天皇杯と並ぶお正月の風物詩といえば、高校選手権です。大雪で決勝が延期されましたが、むしろ連戦による選手たちの疲労が軽減されて良かったのではないでしょうか。迎えた19日の試合は、一進一退の白熱した攻防が繰り広げられ、見ていておもしろかったですね。持ち前の粘りで優勝を収めた鵬翔はもちろん、京都橘も攻撃的なサッカーを貫く見事な戦いぶりでした。

 今回、対戦した両校は決勝に進んだのは初めて。新たなチームの台頭は国内でサッカーの層が厚くなっていることを示しています。日本サッカー界が一体となって子供たちの育成に取り組んできたひとつの成果といえるでしょう。

 鵬翔は大会新記録となる4度のPK戦を制しての栄冠でした。PK戦は試合を終えて疲れきった状態で行なうだけに、この勝ち上がり方は大したものです。
 PK戦で大事なのは、正確性、そしてパワーです。疲労困憊のなかでも狙ったところにボールを蹴ることが第一ですが、勢いが弱ければ、いくらいいコースであってもGKに反応されてセーブされてしまいます。逆にボールに力があれば、少々、GKに触られても手を弾いてゴールインする可能性があるからです。

 私の現役時代、PKの練習中に同僚のジーコから「PKは力強いボールを蹴らないとダメだ」とよく言われました。彼は「チョロッとしたキックは、たいがいGKに読まれたり、触られたりするものだ」とも話していました。その点、鵬翔の選手は全員、コースに力強いボールを蹴れていましたね。PK戦を制してきたのも偶然ではなく必然だと思いました。

 もちろんPKを成功させるには「決めて当り前」という重圧に負けない精神的なタフさも必要です。たとえば鵬翔の5人目だった選手は、準決勝で失敗しています。その時はがっかりしていましたが、決勝ではしっかりとボールを蹴り、勝利を決めました。

 彼をはじめ、鵬翔のキッカーは助走の段階で「やるんだ」という力強さが漲っていたように感じます。私の経験上、そういうオーラをまとった選手はだいたい成功します。決勝までに3度のPK戦を経たことで自信も出てきていたのでしょう。京都橘は1人目の失敗が響く結果となりましたが、それ以上に鵬翔のPK戦の経験値が上回った印象を受けました。

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