[プロ野球]
上田哲之「大谷、外木場、ダルビッシュ」

スポーツコミュニケーションズ

日本野球の歴史に残る外木場のフォーム

 ここで、ひとつ迂回路に入る。過日、今年の野球殿堂入り表彰者が発表された。大野豊さんと外木場義郎さん。いずれも元広島カープの投手だ。昨年も、元広島の投手、故津田恒実さんと北別府学さんだったので、同一球団で2年連続2人の表彰ということが話題となった。いずれも、思い出深い名投手である。

 なかでも、外木場さんの殿堂入りは感慨深い。なにしろ1975年、広島リーグ初優勝の時、20勝を挙げた大エースである。プロ初勝利がノーヒットノーラン。1回の完全試合を含む、計3度のノーヒットノーラン。これだけで、いかにすごい投手かはお分かりだろう。うなりをあげるようなストレートと、1回浮いて曲がり落ちるようなカーブ。生涯、球種はほぼこの2つだったと言ってもいい(シュート、スライダーについての因縁もあるが、ここでは割愛する)。

 何よりも印象深いのは、そのスピード感あふれたリズミカルなフォームである。ピュンと足を上げて、キュッとバックスイングに入り、グワッと投げる。フォロースルーの後、ビデオの逆回しのように反動を利用してプレートに戻る。今、残された映像を観ても、実に心地いい。

 例えば、槇原さんが指摘された大谷のヒップファースト。つまり、左足を上げて、軸となる右足を「逆くの字」に絞ってお尻を出していく。いわゆる下半身のタメができた理想的な動きなのだろう。ただし、そこで一呼吸の間が入る分、外木場のようなスピード感、リズム感はない。いや、優劣を論じようとしているのではない。投球理論にまつわる野球の歴史を体感しているのである。

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