長谷川幸洋著 『政府はこうして国民を騙す』
~政府は平気で嘘をつく~

1月18日発売の最新刊より第2章導入部を抜粋

 借金が総額20兆円として年1,000億円の利益を全部返済に充てたとしても利子なしでも200年、250兆円なら2500年かかる計算である。こんな話を信じる人がどこにいるのだろうか。こんな状態で社債市場に復帰できるわけがない。それは結局、22「東電のギブアップ宣言」で書いたように東電自身が認める結果となる。

最小化どころではない

 実は交付国債以外にも、機構法では機構が「現金」を東電に渡したり、政府保証付きで民間金融機関から資金を借りて、東電に出融資する道が開かれている。実際、機構の1兆円出資は民間金融機関から政府保証付きで調達した資金が原資だった。この問題は⑭「国民には増税を押しつけ、東電は税金で支援。これを許していいのか」から3回にわたって追及した。

 このうち機構に対する政府の現金交付は実行されていないが、法律上は機構が現金で受け取って東電に渡した分は機構が政府に返済する必要はない。返済しなければならないのは、あくまで交付国債を現金化した分だけだ。つまり、東電が返済しなければそれまでである。このカラクリは先のコラムで詳しく解説したが、非常に複雑で素人が法律を斜め読みしたくらいでは、とてもわからない。新聞もまったく報じていない。

 交付国債の現金化による支援を続ける限り、東電はやがて特別負担金の納付による借金返済を迫られる。だが、それも絵に描いた餅になるだろう。いずれ東電が返済し続けるのはムリとわかるので、どこかの時点で返済不要な現金交付、あるいは政府保証による東電支援に切り替わる可能性がある。その後で東電が破綻すると、機構の出資や支援が焦げ付いて、カネを貸した民間金融機関から政府保証による返済を迫られる事態になるかもしれない。

 そうなれば国民負担は当然、一挙に増える。最小化どころではなくなってしまうのだ。

 もともと原子力損害賠償支援機構法は2011年8月に成立してから施行された後、すぐ見直す予定だった。

 附則第6条には「施行後早期に、資金援助を受ける原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担の在り方、資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする」(一部抜粋)と書き込まれている。

 「株主その他の利害関係者の負担の在り方」というのは「株主と銀行にも負担を求めるべきだ」という論点を含んでいる。そうでないと「国民負担を最小化する観点」に達しないからだ。