長谷川幸洋著 『政府はこうして国民を騙す』
~政府は平気で嘘をつく~

1月18日発売の最新刊より第2章導入部を抜粋

 そんな事態がいったい、どうして許されるのか。

 毎週末、首相官邸前や国会議事堂前の反原発抗議行動に集まる数万人の人々は政府と電力会社に怒りをたぎらせながら、そして不安も抱きながら「再稼働反対」の声を上げている。この章では、東電処理や原発再稼働をめぐる政府の対応、抗議行動の意味を考える

破綻処理をしなかったが故に

 政府の支援がなければ、東京電力の存続はとうてい不可能だった。これまでの経過は後のコラムを読んでいただくとして、まず2012年夏時点での東電を取り巻く状況を整理しておこう。

 野田佳彦政権は2012年7月31日、原子力損害賠償支援機構を通じて東電に1兆円を出資し事実上、国有化した。政府の出資に先立って、機構は政府から受けた交付国債を財源に、当面の賠償支払いに充てる費用として2013年度までに東電に対して総額2兆4,262億円の交付を決めている。つまり出資と合わせれば、東電には3.5兆円近い公的支援のカネが流れていく。

 政府は東電支援に当たって「国民負担の最小化」を繰り返し、強調してきた。国民負担には、そのものずばりの税金による負担と電気料金の値上げがある。税金であれ電気料金値上げであれ、家計の負担になるのは同じだ。このうち税金について、政府は「東電救済には1円も投入しない」と言ってきた。一方、電気料金の値上げは2012年9月からの実施が決まってしまった。

『政府はこうして国民を騙す』
著者:長谷川幸洋
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 国民負担の最小化を言うなら、東電をさっさと破綻処理すればよかった。

 この考えは⑩「経産省幹部が封印した幻の『東京電力解体案』」のコラムから一貫している。ちなみにコラムで紹介した「東京電力の処理策」と題した6枚紙の筆者は当時、経産官僚だった古賀茂明である。古賀は省内で干された状態だったが、この紙をまとめたことで省内で一層、警戒されていく。

 破綻させて株主には100%減資を、銀行には債権放棄を求めれば、その分、東電が処理しなければならない債務は減るので、最終的には少なくとも数兆円の国民負担が減ったはずだ。ところが、実際には破綻処理を避けてしまった。その結果、株主と銀行の責任を問わない形になったので、国民負担は最小化できなくなった。