最近、アベノミクスの金融緩和策に伴う円安傾向が鮮明化していることについて、ドイツや英国などから批判の声が上がり始めている。特に、ドイツのメルケル首相は、「日本の円安政策は、通貨引き下げ競争につながる」として明確に批判した。
そうした欧州からの円安に対する批判に対して、わが国政府は「円安誘導には当たらない」として反論する強気の姿勢を示している。為替市場の参加者の間では、「こうしたわが国政府の基本姿勢の背景には、米国から一応の了解を取っているのではないか」との観測も流れている。
為替市場でそうした観測が流れている間は、円安が進む可能性が高いとみられる。為替ディーラー連中と話していると、どうやら「次のターゲットは95円」という見方が多いようだ。
リーマンショック以降、世界の主要国の景気が低迷していることもあり、多くの国が積極的な金融緩和策を取っている。わが国では安倍政権の発足以降、一層の金融緩和を求めるアベノミクスが注目を集めている。
為替レートは、最終的に二通貨間の相対的なお金の量で決まる。有り余っている通貨を欲しがる人は少なく、当該通貨の価値は低下する可能性が高い。一方、希少性の高い通貨は、欲しがる人が多いため価値が上昇し易くなる。
そうしたメカニズムを考えると、金融緩和策を続けると、どうしても当該国の通貨は弱含みになり易い。アベノミクスによって円安傾向が進んでいるのは、或る意味では当然の結果といえる。