2012年、一番飛躍した外食チェーンは、「東京チカラめし」だが、一番話題をさらったのは、「俺のフレンチ」、「俺のイタリアン」で知られる、バリュークリエイトだろう。
現在フレンチが4軒、イタリアンが5軒と絶好調。次々と開店させている。その中で「俺の」はつかないが、同じく「最高の料理を徹底的にリーズナブルに!」という同コンセプトで始めたのが、銀座「しまだ」だった。
一流割烹の料理を立ち飲み値段で食べられる。料理長の島田氏が、麻布十番のミシュラン星獲得の有名割烹出身などといったことから、こちらも行列のできる店となった。
まずは500円で用意される小鉢類が嬉しい。おひたし、きんぴら、大根煮、ポテトサラダ、フィッシュカツ、ニシンなど、いずれも丁寧な仕事による、味がきれいな惣菜が、心を開く。
・・・・・・(略)
ある日出かけたときには、20代後半の青年が二人、「うまいなあ。うまいなあ」といいながら食べていた。割烹というのは若者にとっては敷居が高く、遠い存在だ。将来、彼らがこうした経験を通じて割烹に通うこととなったら、この店の存在価値は素晴らしいと思う。
しかし一方で、「割烹はこんなものか」とわかった気分になってしまう危険も含んでいる。
割烹とは決して料理だけのものではなく、器やしつらえ、佇まい、サービスなどすべてを含めた文化であり、それを楽しむものだからだ。
中には、「いくら安いといっても、割烹のような料理は座って食べたい」。「あれは割烹ではない」という意見もある。・・・(以下略)
メルマガ「現代ビジネスブレイブ」より