特別レポート プロ野球OBたちがタマげた 大谷翔平はやっぱり天才打者だった

週刊現代 プロフィール

 駒田氏は、恵まれた体格ゆえの悩みを、自身の経験を踏まえて指摘している。

「大谷君の打ち方を見ていて気になるのは、構えたときにバットの先がピッチャー方向に向きすぎていること。僕は今の大谷君以上にその傾向が強かったんですが、我々のように背の高い選手だと、スイングの軌道が遠回りしてしまうから、レベルの高い投手と対戦すると、内角のボールへの対応が遅れてしまうんです」

 プロ入り後、先輩投手たちの内角攻めに苦しんだ駒田氏は、フォームの改造に乗り出すも、内角打ちのコツを掴むまでに5年を要したと回想する。

 そこには、高身長ゆえの弊害があった。

「僕もそうだったのですが、コーチからいろいろと教えてもらっても、感覚の違いが出てくるんです。実は、審判のストライクゾーンは、打者の身長が違っても、それほど変わりません。すると大抵のコーチは自分より背が低いわけですから、彼らの言う、高めの打ち方や内角の打ち方では、当てはまらないことがたくさん出てくるわけです」

 誰よりも大きな体をもつ大谷だからこそ、自分一人で解決策を見つけなくてはならない場面が、人一倍多くなる。

 そこで参考になるのが、投手から見た「打者・大谷」の印象だろう。

 横浜の元エース左腕・野村弘樹氏が語る。

「今の段階で言うと、攻めるならやはりインコースですね。手が長いので外角は楽に打たれちゃう可能性がありますから。だから僕なら、現役時代に松井のような左打者に対してやったように、インハイで体を起こさせておいて、次に外角低めを攻める、といった攻め方をするでしょうね」

 そう言いつつも野村氏は、

「でも大谷君なら、いろんな球種、コースに対応出来るバッターに成長できる」

 と続ける。その根拠となるのが、冒頭でも触れた「藤浪からの一発」だ。

「打ったのは真ん中高めのスライダーでした。でも大谷が待っていたのはストレートだと思うんです。そうでなくても藤浪君は150km超の球を投げますから、少なくともストレートを警戒していた状態で、スライダーに反応したことになる。それであの完璧な打球ですから。素晴らしい器用さですよ」

 そして野村氏は、自身と駒田氏が指摘した、内角攻めへの対応も、十分可能だと話す。

「元来、身長が高くて手足が長いのは、野球選手としては有利なんです。それだけ広範囲に対応できるわけですから。その上で、大谷君は非常に関節が柔らかい。先ほど話した甲子園でのホームランも、関節が柔軟だからこそ、予想外の事態にも対応できたわけです。