週現スペシャル あなたの職場にもいるでしょ?「勉強はできるのに、仕事はできない人」の研究

受験生諸君!いい大学を出てもダメな人はいっぱいいます
週刊現代 プロフィール

 協調性がない。それが理系で勉強ができる人の特徴のようだが、それも仕方がないと数学者の藤原正彦氏が言う。

「僕の友達に、5歩歩くと必ず1歩スキップをする数学者がいます。そうしないと歩調が合わなくなるんだそうです。5歩歩くたびにピョンとスキップするんだから、世間から見たら変人でしょう。でも数学者としては天才的でしたよ。

 理系でも数学系統というのは、人との協調は全然必要としないからね。チームで実験しなくちゃいけない学科は自分勝手にやれないけど、数学は鼻毛抜きながら一人で考えていいわけで、協調性のきょの字も必要ない。僕みたいなお喋り好きの人間はとても珍しいんですよ。

 東大数学科を出て、保険会社の保険数学担当とか、コンピュータのSEになる人間は多いですが、間違って営業なんかに異動させられたら、まったくダメでしょうね」

 元ソニー上席常務の工学博士・天外伺朗氏も、頭のいいだけの理系社員がいかに役に立たないか、ソニー時代に痛感したという。

「東大だから、とレッテルを貼るのは私は嫌いですが、勉強ばかりして遊んでいない人は、よほどの天才でない限り、企業では役に立ちません。予定調和のなかで身につけた知識は社会では通用しないからです。

 ペーパーテストとは知識を記憶したかどうかと、論理操作の能力の多寡を計るものです。そうした能力よりは感受性や人生を楽しむ力、全体の中で調和的な立ち位置を確保する力などがいまの時代は求められている。私はそれを『生きる力』と呼んでいます」

 だが、こうした天外氏のエモーショナルな説諭は、そもそも理系秀才の耳には届かないのかもしれない。

 東大工学部から大手ゼネコンに就職した男性(32歳)はこう語る。

「東大の理系には別にエリート意識なんかないんですよ。僕らにはサイエンスの神様がいて、あとの権威はどうでもいいわけです。会社の上下関係も含めて、俗世間のヒエラルキーは、本音を言えばちっとも重要だと思っていない。

 営業とか、文系で出世するような人は、東大出て同級生の官僚とかと付き合うわけです。いつか仕事に役に立つと思って。

 でも僕は月まで飛んで行けるロケットビルとか、火星の基地とか、そういうのが造りたいわけです。他には中国と戦争になったり、天変地異で文明が崩壊したりすると、人類のためにものすごい施設が必要になる。僕は本心では、そんな建築物が造りたい。営業の奴に言ったらドン引きしてましたけどね」

「言葉」を信用しない?

 東大を出るほど頭のいい理系の人間は、そもそも「言葉」というものを、あまり信用していない。