週現スペシャル あなたの職場にもいるでしょ?「勉強はできるのに、仕事はできない人」の研究

受験生諸君!いい大学を出てもダメな人はいっぱいいます
週刊現代 プロフィール

 転職エージェントとして6000人以上の経営者・経営幹部と対面してきた人事コンサルタントの井上和幸氏が言う。

「最近の『勉強ができるのに使えない人』はパターンが多様化しています。箸にも棒にもかからない、という人材ではなく、むしろ最年少課長なんかになっちゃうのに、そこでパタッと出世が止まる人がいる。なぜかというと、それ以上の役職には、もう一段階次元の高いコミュニケーション能力が求められるからです。

 人というものは理屈で説得されて情で動く、と言われます。課長止まりの方は『理』はあるんですよ。『我が社の経営はこうあるべきだ。あそこの部長はバカだな』と言いながら経営戦略は描ける。それは理屈としては正しいしぐうの音も出ないんだけど、『あいつのためには働きたくない』と相手に思われてしまう。

 職場での位が上がってくると、関係部署と折衝したり、気持ちをつかんだりしなくてはいけない。30代まで優秀だった東大卒が、そこでコンフリクト(衝突)を起こして外されるケースがけっこうあります」

心から反省できない人々

 管理職だろうが若手だろうが、このように「仕事の本流」から外れたり、上司から叱られたりしたときに、勉強のできる人は面倒くささを最大限に発揮する。

 大手新聞社の東大卒記者が語る。

「地方支局に勤務していた若いころ、ライバル紙に何本か記事を抜かれた(先を越された)ことがありました。内容は地方自治体絡みの話で、普段同級生の中央官僚と電話で話せる僕にとっては、小さい話ですよ。それなのに上司が『どうなってるんだ!』ってさも大事のように繰り返し説教をするから、いい加減腹が立って、翌日から仕事をエスケープしたんです。それも2週間も。

 いま思えば、支局の仕事なんて適当にこなせるって気持ちがあったんですね。俺の能力があれば。だから『怒られてる自分』に耐えられなかった」

 このように、「ダメだと言われる自分」を受け入れられず、現実逃避、文字通り会社に来なくなってしまう東大卒の例は、取材をすると枚挙に暇がなかった。

 この新聞記者氏は、会社に迷惑をかけて復帰した後は「反省した」と言うが、その口ぶりからは、いまもそこはかとない傲慢さが漂っている。

『もう「東大話法」にはだまされない』の著者で、東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授が言う。

「『使えない高学歴』が増加している背景には、社会の構造的変化があります。明治維新から1970年代までは、基本は欧米のやっていることの模倣・発展でよかった。その時代は彼らも大いに役に立ったのです。

 ところが80年代以降、日本人もやるべきことを自分で決める必要が出てきた。それには何か変わったことや面白いことを思いつく能力が重要ですが、お勉強エリートにはできない。