漠然とイメージして恐れるより調べてみるべし がん治療費の実際
がん保険のカラクリ【第2回】 文/岩瀬大輔

 これらのケースでは治療が保険診療で完結し、自己負担費用はそれほど高くなかった。そこで、保険対象外となる先進医療を使ったケースを紹介する。「非小細胞肺がんで21日間の入院を伴う重粒子線治療を行ったケース」である【図表11】。

 この例では手術と入院費用が3‌6‌3万円、その後2年目から定期検査費が年16万円となっている。ここで、重粒子線治療は保険対象外であり全額自己負担となるため、患者の自己負担額は1年目に3‌2‌9万円、2年目以降は年5万円となる。もっとも、このような「先進医療」が使えるケースは極めて限られている。この点については後で詳しく述べる。
 このように、がんであっても部位や進行の度合い、そして治療方法によってかかる費用は大きく変わってくることがわかる。「がんになったらいくらお金がかかるか」は一概には言えない。繰り返しになるが、がん治療費.comのサイトには多数の実例が掲載されているので、ぜひ参照されたい。

がん患者4‌1‌7‌4人が使ったお金

 以上は、狭義の治療費について分析したものだった。これ以外にも、個室を選んだ場合の差額ベッド代など、がん治療にかかるお金はある。そこで、諸費用をすべて含めた年間の自己負担額、および償還・給付額について、東北大学の濃沼信夫教授ががん患者4‌1‌7‌4人を対象に実施した調査結果を見てみよう【図表12】。

 まず、費用について。該当者平均の合計は1‌2‌8万円となっているが、これには「健康食品・民間療法」の21万円が含まれており、これを使わなければ1‌0‌7万円になる。また、「民間保険料」26万円が含まれているが、平均的に毎月2万円の保険料を払っているのは少し高いような気がする。仮に保険料まで除くとすると、費用は年間80万円程度となる。

 次に、保険などからの償還・給付額について見てみる。高額療養費を含む還付が33万円。加入している民間医療保険(これは必ずしもがん保険とは限らない)からの給付が92万円。すべての償還・給付を受けられる人は平均して1‌2‌5万円が戻ってくる。実質自己負担が3万円程度となっている。これに対して、民間保険に加入していない人は(「健康食品・民間療法」を使わないとして)年間50万円弱の持ち出しとなる。

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