坂村健 第3回 「はじめて東大に行くとき、『お宅はどこにあるんですか?』と本郷の事務室に電話した天才教授」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 機械の構造のことはよくわからないけど、愛人の安否も確認出来るんですね。そんな素晴らしいシステムには大いに税金を投入してもらいたいものです。

坂村 いや、このシステム構築の費用はわたしの研究所が出しているんです。

シマジ そこが坂村教授の太っ腹なところですね。

坂村 スピード感の必要なことはまずモノを作って見せないと、なかなか実行出来ませんからね。うちの研究所はユビキタスコンピューテイングのインフラを作ることに命をかけているんです。

シマジ 教授は金儲けに走らないところが偉いですね。

坂村 ネットの世界ではわたしのような姿勢が本流になってきているんです。たとえばグーグルがスマホで展開しているアンドロイドだって無料で提供されているわけですし。プラットフォームになっているところはタダで提供し、広告や関連サービスでお金を取るというのは世界的傾向です。

シマジ なるほど。

立木 シマジ、大丈夫か。セオ、助けてやんな。

セオ 教授は大儲けしてさっさと引退したビル・ゲイツをどう思いますか?

坂村 ビル・ゲイツは典型的なアメリカ人ですね。彼が偉いのはまずさっさとやめた事。そしてやめた後、財団を作って慈善事業に多額の寄付をしたりして社会に役に立つ活動に専念している。立派ですよ。日本の金持ちの多くのパターンとは違いますね。

 生涯どん欲に金儲けに精を出すのはいいんだけど、儲けた金を何に使うかだね。自分の為に使ったってもちろんいいけど、それ以上にお金がある金持ちっていうわけなんだから。そのあとが大事。

セオ 坂村教授は幾つのときに、どうしてコンピュータに興味を持ったのですか?

坂村 ぼくはアマチュア無線少年だったんです。いまならパソコン少年かな。当時、アメリカのアマチュア無線家で電波を月に飛ばして、月に反射して返ってきた電波を使い遠隔地と通信するという人がいたんです。それを紹介したアメリカの雑誌に、雑音の多い信号からコンピュータでどうやって解析して情報を取り出すのかみたいな事が書いてありました。それでぼくははじめてコンピュータの存在を知りました。コンピュータって面白そうだと思ったそもそものはじまりですね。