二宮清純レポート 栗山巧(西武ライオンズ外野手)ピッチャーに一番嫌われる男

週刊現代 プロフィール

 野茂さんから何か特別、具体的なアドバイスをもらったことはないのですが、トレーニングに取り組むその姿から・真のプロとは何か・ということを教わった気がします」

 栗山には、こだわりの数字がある。3割3分3厘。3打数1安打を重ねていけば、この数字に到達する。

「究極の目標ですね」

 そのためには、どうすべきか。

「僕はもうホームランは捨てました。'09年に自己最高の12本のホームランを打ったんですが、打率は2割6分7厘と低迷した。3割打ってナンボの選手が2割7分も打てないようじゃ話になりません。その翌年からですよ、打率と出塁率を意識するようになったのは……。今は〝ホームラン要りますか、要りませんか?〟と聞かれたら〝要りません〟と、はっきり言える自分がいます」

 敵のベンチは栗山というバッターを、どう見ているのか。栗山が少年時代、羨望の眼差しで見つめていた藤井は、こう語る。

「実に嫌らしいバッターに成長しましたね。粘っこいし、広角に打ち分ける技術を持っている。またボールを呼び込んで打つタイプなので三振が少なく、どんなボールにも対応することができる。将来的には首位打者を獲っても不思議ではないですね」

 ---弱点は?

「ウーン、どちらかというとローボールヒッター。高めがやや弱いかな。だから緩急よりも高低の揺さぶりの方が有効なように感じられます。何か僕の現役時代に似ているような気がしますね(笑)」

 監督の渡辺久信からは昨シーズン終了と同時に「来年もキャプテンでいいよな」と声をかけられた。

 栗山に異論はない。

「はい、もちろんです!」

 即座に、そう答えた。

 やり残したこと、やり切れなかったこと。その落とし前をつけるシーズンにしたいと29歳は考えている。

 西武には不吉なジンクスがある。巳年の優勝がまだ一度もないのだ。野武士軍団と呼ばれた頃の前身の西鉄も、黄金期の西武もなぜか巳年は振るわなかった。

 一皮むけた栗山の力によって、西武は不吉なジンクスから「脱皮」できるのか・・・・・・。

「週刊現代」2013年2月2日号より