佐々木俊尚『雇用も生まず、税金も払わない「21世紀型多国籍企業」と国民国家との乖離』

〔PHOTO〕gettyimages

巨大工場が雇用や税収を支えたGMやフォード

 多国籍企業ということばの意味が、かなり変わってきているように思う。

 かつての多国籍企業は、国の力や国民の力と一体となっていた。多国籍企業が強くなり、それが国の力を富ませ、国民を豊かにする。

 たとえばアメリカのフォードやGMといった自動車メーカーは、国内で膨大な従業員を雇って巨大工場でクルマを作り、これを世界中に売っていた。この利益がアメリカに環流し、法人税や雇用、貿易黒字となってアメリカの国力を富ませていたのだ。

 しかし最近のアメリカの多国籍企業は、国力と関係なく動く。グーグルやアマゾン、フェイスブック、アップルなどの起業がそうだ。

 そもそも国の力、国力とは何か。いくつかの要素がある。まず経済力。それから教育をちゃんと受け、勤勉に働く人たちがたくさんいるかどうかという国民の質だろうか。

 経済力は、GDPで測られる。しかしインターネットを使ったプラットフォーム企業は、生産も消費も世界にばらまいてしまう。そして母国に雇用を生まない。さらには税金だってまともに母国には納めていない。

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