2013.01.13

Close up〝前手ギュン打法〟で世界を驚かす
松田宣浩 福岡ソフトバンク「ジャパンのサードは任せろ!」

フライデー プロフィール
「ミートポイントは前に。ボールは長く見る」。自ら命名した「前手ギュン打法」 で弾丸ライナーを叩き込む

「僕と中村はどっちも昭和58年('83年)生まれ。同じパ・リーグで右打ちの三塁手という共通点もあって強く意識する相手でした。でも、パワーは誰が見ても違う。打者としては敵わなかったんです」

 松田は「プロで結果を残すためには、何かキッカケが必要」とよく口にする。「僕の場合はそれが何かと聞かれても、よく分からないんですが・・・・・・」と言葉を濁すが、ライバルからの刺激は決して無関係ではなかったはずだ。松田はその後、急上昇で成長曲線を描く。

 '11年シーズンには自身初の144試合フルイニング出場を果たし、打率・282、25本塁打、83打点とすべてキャリア最高の数字を残した。本塁打は中村の48本に遠く及ばなかったが、リーグ2位。

 さらに注目すべきは、この年が「統一球」導入の初年度だったことである。

 一昨年の低反発球の導入は日本の野球を大きく変えた。ロースコアの攻防が激増し、多くの一流打者が成績を下げている現状には、各方面から不満の声も多い。

 だが松田は「そこまで影響を感じない」と、こともなげに言う。事実、セ・リーグでは本塁打王の獲得水準が大幅に低下した(49本→31本)一方で、パ・リーグ1、2位の中村と松田はいずれもキャリア最多のアーチを放っている。もっとも、すでに本塁打王を2度獲得していた中村に対して、松田の場合は大躍進だ。その秘訣は果たして何か?

「決して大きくない体でも(松田は身長180cm)、飛ばないボールでも、飛ばすコツはあるんです。それが『前手ギュン』。僕がたどり着いた究極の打撃理論です! ボールを体の前のほう(投手寄りの位置)で捉えて両手でギュンと押し込む。そのイメージで打てばいいんです」

 ほんの数年前までは「引きつけて打つ」のが球界の主流だった。少年野球でも「ボールを呼び込んで打て」と教えられる。ボールを長く見ることで選球眼が向上するし、何より、腕を曲げた状態こそ最も力の入る瞬間だという理論があるためだ。だから、人間は襖を開け閉めする時に腕を伸ばしたままにしないし、力士がまわしを取る際はヒジを90度に曲げる。

 それに対して、松田が言うように腕を伸ばし体の前でボールを捉えようとすると「インパクトを前で前で」という意識が勝り、体が前方に流れがちになる。

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