長谷川幸洋「政府の情報公開=オープンデータはジャーナリズムをどう変えるのか」

〔PHOTO〕gettyimages

「情報の2次加工」が不得手な既存メディア

 インターネットが日常生活に浸透した環境下で政府や企業の情報公開が進むと、何が起きるか。前回に続いて、国際大学GLOCOMの庄司昌彦講師・主任研究員への取材などを基に現状を考えてみる。

 2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島原発事故はネットが伝える情報のあり方にも革新的な影響を及ぼした。コンピュータを経由して流れるネット情報は圧倒的な速報性とともに、加工性の点でも新聞やテレビにはない利点があったからだ。

 たとえば政府や地方自治体、電力会社は大震災と原発事故の直後から放射線や電力需給などの情報をホームページなどで発表した。ところが、それは当初、あくまで「その場限り」の情報にとどまっていた。

 その場限りというのは、発表された情報を「2次加工できない」という意味だ。東電が電力需給データを簡単なグラフで示しても、元の数値データが示されない限り、だれかが2次加工して別のグラフや図面、表のような形で表現できない。しかもアクセスが集中して、そもそも東電のホームページが開けない事態も起きた。

 大震災と原発事故が起きて非常に多くの人々が多様な情報を求めていた一方、提供する側は型にはまった「お仕着せ」情報しか出さず、供給量も十分でないという状況が現出した。情報をめぐって質と量の両面で需要と供給のアンバランスが起きたのだ。

 新聞やテレビのような既成メディアは特設ページを作ったり、特別番組を編成して読者、視聴者の需要に応えようとした。しかし「情報の2次加工」という領域には、ほとんど手が届かなかった。そういう作業は不得手だったのである。

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