有名人の主治医が語る「命を救った治療」~理想の医師とはいったい何だろうか。著名人5人が全幅の信頼を置く名医が、その治療法と信念を余すところなく明かした。

フライデー プロフィール

「それは、モニターを見つめる横山医師も同様でした。本来なら念のため入院が必要でしたが、当時みのさんは多忙を極め、予定が立たない状態。そのため、その場でポリープを切除する内視鏡手術を行うことにしたのです。通常なら内視鏡の先からリング状の電熱線をポリープに引っ掛けて焼き切りますが、この時のポリープは平たくてリングをかけられなかった。そこで、まずポリープの下部に食塩水を注入して全体を隆起させた後、リングをかけて、根こそぎ切除したんです」

 突如、検診から内視鏡を使った手術に変わったわけだが、それでも15分ほどで終了し、みのは次の仕事へと向かった。

「切除した組織を検査に回し、1週間後に出た結果は、予想通り早期のガンでした。一概には言えませんが、あのまま2~3年放置していたら進行ガンになっていた可能性もありました」

 それ以来みのは、胃と大腸の検査を毎年必ず渡辺医師のもとで受けるようになった。その後もポリープを時々切除しているものの、健康を保ち続けている。

腸閉塞の苦しみから
仁科亜季子を解放した「高度な技」

国際的にも高い評価を得ている渡邊氏の手術。技術指導のため、定期的に海外へ渡っている

 たとえ命にかかわる危険は低くても、日常生活に大きな影響を及ぼす病気がある。患者にとっては苦痛が大きくても、「それで死ぬわけではない」と、医師が真剣に向き合おうとしない病気に苦しむケースもある。

 女優の仁科亜季子(59)は'91年、子宮頸ガンを発病し、子宮や卵巣を切除。その8年後にも悪性腫瘍が見つかり、胃の一部と脾臓を切除している。ガンは命に直結する重大疾患であり、そのたびに、彼女が見事復帰を果たしたことが大きく報じられたのも当然のことと言えよう。しかしその陰で、彼女が腸閉塞という合併症に人知れず苦しんでいたことはあまり知られていない。

 腸閉塞とは腸の内容物が通過しにくい、あるいは完全に詰まった状態のこと。閉塞部に炎症を起こせば当然痛むし、悪化して腸管が破けると内容物が腹腔内に漏れ出して腹膜炎を起こすこともある。

 何度も症状に悩まされていた仁科は、昨年初め、ついに腸閉塞の手術を受けることを決意。担当した北里大学医学部外科教授の渡邊昌彦医師が解説する。

「外科手術で最も多い合併症が〝癒着〟。臓器同士が貼り付いた状態のことで、これが腸管で起きると腸閉塞の原因となります。腸閉塞は手術の成否とは関係なく、どんな名医が執刀しても一定の確率で現れる症状。仁科さんの腸閉塞は、完全に詰まるタイプではないものの、痛みや吐き気に発熱を伴い、年に2~3回、入院治療をしていました」