有名人の主治医が語る「命を救った治療」~理想の医師とはいったい何だろうか。著名人5人が全幅の信頼を置く名医が、その治療法と信念を余すところなく明かした。

フライデー プロフィール

 これら一連の治療を、菅原は3ヵ月にわたる入院生活で乗り切った。術後5年を経過して再発転移はない。比較的予後が悪いとされる膀胱ガンにあって菅原のケースは快挙といえるが、赤座医師は次のように説明する。

「前医の判断が誤りだったのではなく、あくまでも膀胱全摘という判断は、当時も今もガイドラインに沿ったもの。ただ、私は膀胱温存治療に力を入れており、菅原さんのガンは温存治療の守備範囲だった。外科医の中には、温存できる可能性がある臓器でも、すぐに切ろうとする人もいますが、患者にはその先の生活がある。我々医師は、そこまでを視野に入れて診療に当たるべきだし、現在の医療界がそれを実践できる技術を持ちつつあるのも事実です」

 現在は芸能界を引退し、山梨県で農業に打ち込む菅原の表情は明るい。その明るさの背景には、患者の生活の質を維持することに努力と熱意を惜しまない名医との出会いがあったのだ。

鳥越俊太郎の大腸ガン
開腹せずに切除した腹腔鏡下手術

長年にわたり、虎の門病院で大腸ガン腹腔鏡下手術の権威として、多くの後進を育成してきた澤田医師

 手術では時に、医師同士のチームワークが重要となることもある。ジャーナリストの鳥越俊太郎(72)も、そのチームワークに救われた一人だ。

 鳥越に大腸ガンが見つかったのは'05年のこと。その手術を担当した、前・虎の門病院消化器外科部長で現在は宮崎県都城市にある横山病院大腸外科・内視鏡外科部長を務める澤田壽仁医師が語る。

「鳥越さんはもともと虎の門病院をかかりつけにしていたのですが、人間ドックで便潜血反応が出て消化器外科にやって来たんです。大腸カメラで見ると、S状結腸から直腸につながるところにガンがあった。ステージⅡの進行ガンでした」

 半年遅かったら、命にかかわったという。すぐに腹腔鏡下手術が行われた。

「腹腔鏡下手術とは、皮膚に3~4ヵ所の小さな穴を開け、そこに挿入した腹腔鏡の映像を見ながら、同様に穴から入れた細い器具を駆使して行う手術方法。開腹手術に比べて術後の痛み、出血などのダメージが小さく、回復も早いんです」

 最近では、宮迫博之が受けたことでも知られる腹腔鏡下手術。澤田医師はこの術式に早くから取り組み、大腸ガンの手術としては日本ではトップクラスである2400例以上の経験を持つ。